
ある日の午後、ヒロシはカフェでノートパソコンを開きながら、友達の誕生日プレゼントについて悩んでいた。エミリーもそこにやって来て、一緒にコーヒーを飲みながら話すことに。ヒロシはふと、エミリーにプレゼント選びについて相談してみる。
ヒロシ: ねえエミリー、ちょっと相談していい?
エミリー: うん、どうしたの?
ヒロシ: 今度、友達の誕生日なんだけどさ。何をあげようか迷ってて。なんか服でもいいかな〜と思ってるんだけど、「ベタ」な贈り物しか思いつかなくてさ。
エミリー: 「ベタ」?それってどういう意味?なんか聞いたことあるけど、ちゃんとはわかんないなぁ。
ヒロシ: あー、そうか。ベタって、もともと漫画の「ベタ塗り」っていう技法から来ててさ。真っ黒に塗りつぶすやつね。そこから、単調とか、ありがちって意味になって、今では「よくあるパターン」って感じで使われてる。
エミリー: あー、typical、つまり「よくある」ってことね。
ヒロシ: そう、それ。
エミリー: expected っていうのも近いよね。つまり「予想できる」って感じ?
ヒロシ: うん、それも当たってる。なんか、想像通りすぎて面白くない感じ?
エミリー: あと、映画とかでストーリーが最初から最後まで予想通りのとき、"predictable" って言うよ。つまり「展開が読めちゃう」ってこと。
ヒロシ: あー、それも「ベタ」って言うわ。「ベタな展開だったね」とか。最後のオチがもう読めてた、みたいなやつ。
エミリー: 英語ではそういうの、"cliché" って言ったりもする。使い古されてるって意味。ジョークとかセリフにも使える。
ヒロシ: へー、"cliché"?それ初めて聞いた。でも意味はめっちゃ近いな。
エミリー: でしょ?でもさ、たとえベタでも、もらった人が喜んで使ってくれるなら、それって悪くないと思うよ。
ヒロシ: うん、確かに。Tシャツとか、日常的に使えるものなら、たとえベタでも全然アリだな。
解説
ベタ(beta)
ありがちで目新しさがないこと。定番すぎて意外性がない場面や物に対して使われる。
もともとは漫画の技法「ベタ塗り」から来ている。「ベタ塗り」とは、背景や影の部分を真っ黒に塗りつぶす表現方法で、単調で一面的な印象を与える。この「単調さ」「変化のなさ」というイメージが転じて、日常的な表現として「ありがち」「定番すぎる」という意味で使われるようになった。
たとえば「ベタなプレゼント」と言えば、誰でも思いつくようなTシャツやマグカップなど、無難すぎてサプライズ感のない贈り物を指す。また、「ベタな展開」「ベタなジョーク」など、映画や会話の中でもよく使われる。
- "That's such a cliché."
それってすごくありがちな感じだね。
→ cliché:ベタ、使い古された表現やアイデア - "That gift is kind of predictable."
そのプレゼントはちょっと予想通りって感じだね。
→ predictable:予想できる=ベタな、意外性がない - "The ending of that movie was really typical."
あの映画のラスト、すごくありがちだったね。
→ typical:よくある、定番の=ベタな - "I knew exactly what would happen. It was so expected."
何が起こるか完全にわかってた。超予想通りだったよ。
→ expected:予想できる=ベタな、意外性ゼロ
補足:clichéという単語について
cliché はもともとフランス語で、「刷版」や「決まりきった表現」を意味します。英語では19世紀ごろから「使い古された言い回し」「ありがちなアイデア」として使われるようになり、今では英語圏でも日常的に使われる語彙です。
- 最後の é は「アクサン・テギュ(accent aigu)」と呼ばれ、フランス語で「エー」と発音させるための記号です。
- 英語でも正式な表記ではこのアクサンを残した cliché を使うことが多いですが、非公式な文書や会話では cliche(記号なし)と書く人もいます。
「ベタ」を英語で説明する
"Beta" (ベタ) is a slangy Japanese word used to describe something that is overly typical, unoriginal, or expected. It often applies to gifts, jokes, or storylines that are so common they feel uncreative.
「ベタ」は、典型的すぎて新鮮味がない、ありがちなものを指す日本語のスラング的な表現です。プレゼント、ジョーク、ストーリーの展開など、意外性がなくよくある内容に対して使われます。
ベタ(beta)は日本語能力試験(JLPT)N2に該当します。
※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。