
ある日の夕方、大学のカフェでヒロシとエミリーが会話をしている。ヒロシは今度のサッカーサークルの試合について悩んでいて、チームの問題を愚痴り始める。「問題だらけなんだよ」とつぶやくヒロシの言葉に、エミリーはちょっとひっかかる。「だらけ」って、どういう意味なんだろう?
ヒロシ: 次の試合、正直ヤバいわ。うちのサークル、問題だらけでさ。
エミリー: 「問題だらけ」?なんか意味はわかるけど…「だらけ」ってどういうこと?
ヒロシ: あー、「だらけ」ってのは、何かがいっぱいあるって感じ。例えば、ミスだらけって言ったら、ミスがめっちゃ多いって意味。
エミリー: なるほどね。英語で言うと、「full of」が近いかもね。full of mistakes みたいな。
ヒロシ: へー、そうなんだ。「almost」って言葉も使える?「almost mistakes」って感じで。
エミリー: うーん、それはちょっと違うかな。「almost」って、「もう少しで〜になる」とか「ほとんど〜」って意味だから、「almost mistakes」って言うと、「ミスになりかけ」みたいに聞こえちゃう。
ヒロシ: あー、たしかに。「almost correct」だったら、「正解に近いけど正解じゃない」って感じになるしな。
エミリー: そうそう!でも「だらけ」は、実際にネガティブなものであふれてる感じでしょ?だから「almost」じゃニュアンスが弱いんだよね。
ヒロシ: そっかー。うちのサークル、実際ミスも多いし、やる気ないし、ほんと問題だらけ。
エミリー: でも、そういうときこそ、できることを一つずつやっていくしかないよ。
ヒロシ: そうだな。文句言っても始まんないしな。
解説
だらけ は、日本語の接尾辞(せつびじ)で、名詞のあとにつけて「〜が大量にある」「〜で埋め尽くされている」といった意味を表します。特に、ネガティブなものに対して使われるのが大きな特徴です。単なる数量の多さだけでなく、それによって不快・乱雑・ひどいという印象を与えるときに使われます。
たとえば、「間違いだらけ」と言うと、単にミスが多いというよりも、「見ていられないくらいミスが多くてひどい」という話し手の感情や評価が含まれています。
英語には「〜だらけ」にぴったり対応する文法表現はありませんが、意味として近い言い回しはいくつかあります。
full of ~
直訳すると「〜でいっぱい」という意味で、「だらけ」のニュアンスに最も近い表現です。特にネガティブな名詞と一緒に使うと、「〜だらけ」と同じようなイメージになります。
例文:The report is full of mistakes.
そのレポート、間違いだらけだよ。
covered in ~
物理的に何かが「覆われている」「ついている」という意味で使われます。ほこり、ゴミ、泥など、目に見えるものに対して「〜だらけ」の意味を表すのに適しています。
例文:My clothes were covered in mud after the game.
試合のあと、服が泥だらけになった。
a mess of ~ / a bunch of ~ など
会話では「ごちゃごちゃしている」「まとまりがない」といった感覚で「だらけ」に近い意味として使われることもありますが、「full of」や「covered in」ほど直接的ではありません。
※注意:「almost」は「ほとんど」という意味で、「もう少しで〜になる」というニュアンスがあります。
「almost mistakes(ほとんどミス)」という表現は、「ミスになりかけている」など別の意味に聞こえてしまい、「ミスだらけ」とは一致しません。意味の強さと範囲が違うため、「だらけ」を表すには不適切です。
「だらけ」を英語で説明する
The Japanese word “darake” is a suffix that attaches to nouns to indicate that something is full of or covered in a particular, usually negative, thing. Unlike neutral English expressions like “full of” or “covered in,” “darake” often carries a strong emotional nuance—typically frustration, criticism, or disgust.
For example, if you say a report is “machigai darake” (間違いだらけ), you're not just stating that there are many mistakes. You're expressing that the mistakes are so numerous and obvious that the whole report feels messy, careless, or even unacceptable. The suffix “darake” emphasizes the overwhelming presence of something undesirable and often reflects the speaker’s negative emotional reaction.
In English, phrases like “full of mistakes” or “covered in dust” are the closest equivalents. However, these English expressions are usually more neutral or factual, while “darake” often implies judgment or disapproval. It’s not just about quantity—it’s also about how overwhelming and unpleasant that quantity feels.
Also, it's important to note that expressions like “almost all”, which refer strictly to quantity, do not convey the same nuance. While “almost all” means “nearly everything,” it lacks the emotional tone or criticism that “darake” typically carries.
日本語訳:
日本語の「だらけ」は**名詞につく接尾辞(suffix)**で、「あるものが非常に多く、そのもので満たされている・覆われている」という状態を表します。特徴的なのは、単に「多い」ことだけでなく、話し手の不満・批判・嫌悪といったネガティブな感情を含む点です。
たとえば「間違いだらけのレポート」と言うと、「ミスが多い」という事実だけでなく、「こんなのひどすぎる」「ちゃんと見直してないんじゃないの?」という主観的な評価が込められています。
英語の “full of mistakes” や “covered in dust” は意味的には近い表現ですが、どちらかというと中立的・事実的な表現です。これに対して「だらけ」は、感情を含んだ否定的な表現であることが多いのがポイントです。
また、「almost all(ほとんど全部)」のような英語表現は、数量の多さを伝えるには便利ですが、「だらけ」のように「多すぎてイヤになる」「もう手に負えない」というような印象や不満までは表せません。
「だらけ」は日本語能力試験(JLPT)N2に該当します。
※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。