
免許を取ってまだ間もないヒロシは、中古車を買って運転の練習をしている。ある日、交差点で思いもよらない出来事があった。スピードは出していなかったが、自転車がいきなり目の前に飛び出してきたのだ。幸い事故にはならなかったが、自転車はちょうどミラーの陰に隠れていて見えていなかった。ヒロシはそのときの驚きをエミリーに話す。話の中で「死角」という言葉を使うと、エミリーは「四角」と勘違い。そこから言葉の意味、比喩的な使い方、そして英語表現の話へと広がっていく。
ヒロシ: この前、めっちゃびっくりしたことがあってさ。
エミリー: え、なになに?また道に迷ったとか?(笑)
ヒロシ: いや、ちがうちがう。運転してたら、急に自転車が目の前に飛び出してきたんだよ。
エミリー: えっ、やばっ!ぶつかってない?
ヒロシ: ギリギリで止まれたから大丈夫だったけど、マジで心臓バクバクだった。スピード出してなかったのが救いだわ。
エミリー: それ、どこから出てきたの?
ヒロシ: それがさ、サイドミラーのちょうど陰で、全然見えなかったんだよ。完全に死角だった。
エミリー: しかく?それって四角のこと?
ヒロシ: あー、読み方は同じだけど、漢字が違うんだよ。「死ぬ」の「死」に「角」って書く。「死角」ってのは、見ようとしても見えないエリアのこと。特に車の運転のとき、ミラーでは確認できないところを指すんだよ。
エミリー: あっ、それは、 blind spotっていうことね。
ヒロシ: そう、それ。しかもこれ、運転だけじゃなくて、いろんな場面で使えるんだよね。たとえば監視カメラが設置されてても、カメラが届かない場所があったりするでしょ?そこも死角。
エミリー: あー、そういう意味でも使えるんだ!
ヒロシ: うん、あとさ、自分の考え方とか行動で、「自分では気づいてないけど、周りから見たら問題ある」みたいなとこあるじゃん。そういう部分も「死角」って言ったりする。
エミリー: おぉ、それって blind spot の比喩的な意味と同じだね!
ヒロシ: たぶんそう。けっこう便利な言葉かも。
エミリー: 英語でもね、使い方いくつかあるんだよ。運転のときはもちろん「blind spot」って言うんだけど、制度とかシステムの欠陥には「loophole」とか「oversight」って言うの。
ヒロシ: へぇー、たとえば?
エミリー: 「その制度にはいくつかの死角がある」だったら、There are several loopholes in the system とか、The system has some blind spots って言えるし、監視カメラの話なら blind spot of the surveillance cameras とか、unguarded area って表現もあるよ。
ヒロシ: 英語のほうがバリエーションあるね。
エミリー: うん、でも日本語も同じくらい奥深いと思うよ。「死角」って漢字の意味も強いしね。
ヒロシ: たしかに…これからは「見えてるつもり」じゃダメだなって思った。死角は油断してると危ない。
エミリー: 気をつけてねー。英語でも safety first!
解説
死角(しかく)は、自分の視界や意識の届かない場所・部分を指します。
もともとは車の運転中にミラーでは確認できない範囲、つまり「見えない場所」の意味で使われます。
また、比喩的に「自分では気づかない欠点」「監視の届かないエリア」「見落とされやすい問題点」などにも使われます。
英語には「死角」にぴったり対応する単語がありますが、文脈によって複数の言い方が使われます。
blind spot
最も一般的な訳。特に運転時や視界に関する話で使われます。「視覚的に見えない部分」という意味で、日本語の「死角」と一致します。
例文:There was a motorcycle in the car's blind spot.
車の死角にバイクがいた。
loophole / oversight / vulnerability
比喩的な意味での「死角」、つまり制度や仕組みの中の「見落とし」や「弱点」を表すときに使います。
例文:There are several loopholes in the system.
その制度にはいくつかの死角がある。
The system has some blind spots.(比喩的にも可)
そのシステムにはいくつか盲点(=死角)がある。
unmonitored area / unguarded area
警備や監視が行き届かないエリアを指します。セキュリティの文脈で使われることが多いです。
例文:The theft occurred in a blind spot of the surveillance cameras.
監視カメラの死角で盗難が起きた。
例文:The area wasn’t covered by any security cameras.
そのエリアはどの監視カメラにも映っていなかった(=死角だった)。
「死角」を英語で説明する
"Shikaku" (死角) refers to a blind spot — a place you cannot see, especially when driving. It also has a metaphorical meaning, referring to things people tend to overlook or areas not well protected.
「死角(しかく)」とは、特に運転中などに目で確認できない場所=“blind spot”を指します。さらに比喩的に、見落とされた欠点や警備・監視の行き届かない場所なども意味します。
「死角(しかく)」は日本語能力試験(JLPT)N2〜N1に該当します。
※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。