大学の講義が終わり、カフェでコーヒーを飲みながらエミリーとヒロシは雑談していた。二月に入ったばかりで、日本では「節分」の話題が増えている。コンビニでもスーパーでも「恵方巻」というお寿司を多く見かけることにエミリーは興味津々の様子で、ヒロシに節分について質問した
エミリー: ねえヒロシ、最近「節分」っていう言葉をよく聞くんだけど、どういう行事なの? 日本の伝統的なものだよね?
ヒロシ: そうそう、節分は日本の伝統行事のひとつで、邪気を払って福を呼び込むための行事なんだ。特に「豆まき」が有名だよな。
エミリー: なるほど。でも、どうして毎年2月3日なの?
ヒロシ: 実は、節分の日付って固定されてるわけじゃないんだよ。本来「節分」は「季節を分ける日」っていう意味で、立春・立夏・立秋・立冬の前日すべてが節分だったんだ。でも、特に「立春」は昔の日本では一年の始まりとされていて、一番重要だったから、今では「節分」といえば立春の前日を指すようになったんだよ。
エミリー: じゃあ、必ず2月3日ってわけじゃないんだ?
ヒロシ: そうなんだ。立春の日付は、太陽の動きを基にした暦(こよみ)で決まるから、年によっては2月2日や2月4日になることもあるよ。
エミリー: へえ! つまり、節分は「新年の前日」みたいな感じなのね?
ヒロシ: そうそう。昔の日本では、立春が一年の始まりと考えられていたから、新しい年を迎える前に邪気を払って、良い運気を呼び込むために「節分の儀式」をするようになったんだ。
👹 鬼とは何か?
エミリー: でも、なんで鬼を追い払うの?
ヒロシ: 昔の日本では、病気や災害、悪い出来事は「邪気」や「鬼」のせいだと考えられていたんだ。だから、鬼を象徴的に追い払うことで、悪いことが起こらないようにするっていう意味があるんだよ。
エミリー: じゃあ、「鬼」っていうのは本物の怪物じゃなくて、不幸や災難の象徴なのね?
ヒロシ: そういうこと! 実際、豆まきをする時に「鬼は外!福は内!」って言うだろ? これは、「悪いもの(鬼)は外に出して、幸運(福)を家の中に呼び込もう」っていう意味なんだ。
エミリー: へえ、日本の鬼ってただ怖い存在じゃなくて、もっと深い意味があるんだね!
🎇 アメリカには似たような行事がある?
ヒロシ: そういえば、エミリーの国にはこういう「邪気を払う」みたいな行事ってあるの?
エミリー: うーん、日本の節分みたいに「豆をまく」習慣はないけど、新年を迎えるときに花火を打ち上げるのはちょっと似てるかも。大きな音を出して悪霊を追い払うっていう意味があるのよ。
ヒロシ: へえ、それは面白いな! 確かに、鬼を追い払うっていう考え方に似てるかも。
エミリー: そうでしょ? あと、ハロウィンもちょっと似てるかもしれない。もともと、悪霊がこの世にやってくると信じられていたから、仮装して怖い姿になって悪霊を追い払おうとしたらしいの。
ヒロシ: なるほどな。日本の節分は「鬼は外!」って追い払うけど、ハロウィンは「自分が怖い存在になって、悪霊を驚かせる」っていう発想なのか。
エミリー: そうそう。でも、節分みたいに決まったセリフを言ったり、恵方巻みたいな特別な食べ物を食べたりすることはないから、やっぱり日本の節分はすごくユニークな行事だと思う!
🍣 恵方巻とは?
エミリー: ところで、「恵方巻」っていうのも聞いたことあるんだけど、それって何?
ヒロシ: 恵方巻は節分の日に食べる太巻き寿司のこと。普通の巻き寿司よりちょっと大きめで、中には色んな具が入ってるんだ。
エミリー: へえ、美味しそう! でも、それをどうして節分に食べるの?
ヒロシ: もともとは大阪の風習だったらしいんだけど、今では全国的に広まってるんだ。恵方巻を食べるときのルールがあって、「その年の恵方を向いて、黙って一本丸ごと食べる」と願い事が叶うって言われてる。
エミリー: なるほど、でもなんで黙って食べるの?
ヒロシ: 途中で喋ると運が逃げるって言われてるんだよ。だから、みんな無言でモグモグ食べるんだ。
エミリー: へえ、日本の文化って本当に面白いね! よし、今年は私も恵方巻に挑戦しようかな!
ヒロシ: いいね! じゃあ、豆まきもやる? エミリーが鬼役な!
エミリー: えー!? なんでよ!
解説
1. 節分(せつぶん) – Setsubun
節分とは、日本の伝統行事のひとつで、「季節を分ける日」を意味する言葉。もともとは立春・立夏・立秋・立冬の前日すべてを節分と呼んでいたが、特に立春の前日が重要とされ、現在の「節分」として定着した。立春は暦の上で春の始まりとされており、昔の日本では新年のような意味合いがあったため、邪気を払い福を呼び込む儀式が行われるようになった。
👉 Setsubun is a traditional Japanese event that marks the transition between seasons. Originally, the day before the first day of spring, summer, autumn, and winter were all called Setsubun, but the day before the first day of spring (Risshun) became the most significant and is now what people commonly refer to as Setsubun. Since Risshun marks the beginning of spring, it was once considered the start of a new year, and rituals were performed to drive away evil spirits and bring in good fortune.
2. なぜ節分の日付は変わる? – Why does the date of Setsubun change?
節分は「立春の前日」と決まっているが、立春の日付は太陽の動きに基づく「二十四節気」の計算で決まるため、年によって変わる。多くの場合は2月3日だが、近年では2021年が2月2日だったように、今後も変動する可能性がある。
👉 Setsubun is always the day before Risshun, but since Risshun is determined by the solar calendar and the "24 seasonal divisions" (Nijūshi Sekki), its date can change from year to year. While it is usually on February 3rd, in 2021, for example, it fell on February 2nd. The date may continue to shift slightly in the future.
3. 鬼(おに) – Oni (Demons)
節分に登場する「鬼」は、ただの怪物ではなく、病気・災害・不幸などの象徴とされている。昔の日本では、悪い出来事は「鬼」の仕業と考えられていたため、鬼を追い払うことで邪気を払おうとした。これが「鬼は外!福は内!」という豆まきの掛け声につながっている。
👉 The "oni" (demon) that appears in Setsubun is not just a monster but symbolizes misfortune, illness, and disasters. In ancient Japan, people believed that bad things happened due to the influence of oni, so they developed the custom of driving them away to purify their surroundings. This belief led to the tradition of shouting "Oni wa soto! Fuku wa uchi!" ("Out with demons! In with fortune!") while throwing beans.
4. 豆まき(まめまき) – Mamemaki (Bean-Throwing Ceremony)
豆まきは、鬼を追い払うために炒った大豆をまく行事。豆には「魔を滅する(まをめっする)」という意味が込められ、魔除けの力があると信じられていた。また、生の豆ではなく炒った豆を使う理由は、芽が出ると縁起が悪いとされるため。豆まきの後は、年齢の数だけ豆を食べることで、1年間健康に過ごせるとされている。最近では、個包装された豆をまく家庭も増えている。
👉 Mamemaki is the act of throwing roasted soybeans to drive away demons. The word "mame" (bean) sounds similar to "mametsu" (to destroy evil), which is why beans are believed to have the power to ward off misfortune. Roasted beans are used instead of raw ones because raw beans can sprout, which is considered bad luck. After throwing the beans, people eat the number of beans corresponding to their age, as it is believed to ensure good health for the year. Nowadays, some households use packaged beans instead of loose ones to keep things clean.
5. アメリカの似たような行事はあるか?
日本の節分のように「邪気を払う」目的の行事は、アメリカではあまり一般的ではないが、以下のような習慣が少し似ている。
- 新年の花火(Fireworks on New Year’s Eve) – 悪霊を追い払う意味を持つ。
- ハロウィン(Halloween) – 悪霊がこの世にやってくると信じられていたため、仮装して怖い姿になって悪霊を追い払おうとしたらしい。
- 春の大掃除(Spring Cleaning) – 直接的に邪気払いの意味はないが、家を清めることで新しい季節を迎える点が節分と共通する。
6. 恵方巻(えほうまき) – Ehomaki (Lucky Sushi Rolls)
恵方巻は、節分の日に食べる太巻き寿司で、大阪発祥の風習とされる。「その年の恵方を向いて、黙って丸ごと食べる」と願いが叶うとされる。
- 恵方(えほう) – その年の縁起の良い方角で、毎年異なる。
- 黙って食べる理由 – 途中で喋ると運が逃げるとされている。
- 最近の傾向 – コンビニやスーパーの商業戦略で全国的に広まり、海鮮巻きやカツ巻きなど様々な種類が登場している。
- 👉 Ehomaki is a thick sushi roll eaten on Setsubun, a tradition originating in Osaka. It is believed that if you eat an entire roll in silence while facing the year's lucky direction (Eho), your wish will come true.
- Eho – The lucky direction of the year, which changes annually.
- Eating in silence – Talking while eating is believed to let luck escape.
- Modern trends – Originally a regional custom, it has now spread nationwide due to marketing by convenience stores and supermarkets, with various fillings such as seafood and cutlets.
参考