ヒロシ: ねえ、エミリー、日本語の「水入らず」って聞いたことある?
先週、家族が久しぶりに集まって日曜日、夕食を食べたんだ。家族水入らずで食事も久しぶりだな、なんて父が言っていたのを聞いて、久しぶりに聞いたことばだったから、よし、是非エミリーに教えてあげようと思ってさ。前に教えた「水くさい」と違うんだよ。
エミリー:また、「水」が出てくるのね。「水入らず」?聞いたことないわね。是非教えて。
ヒロシ: 「水入らず」はもともと、家族や親しい人たちだけの集まりで、外部の人が入ってこないことを指すんだけど、その背景には昔の日本の生活習慣が関係しているんだ。昔、家の中に「水」があるのは、他の人や外のものが入ってくる象徴だったんだよ。たとえば、昔の家では玄関や門の前に水を撒いて、外からの「けがれ」を洗い流す習慣があったの。だから、「水が入らない」っていうのは、外からの余計なものが入ってこない、という意味なんだ。
エミリー: なるほど、だから「水入らず」は家族や親しい人たちだけで、他の人が邪魔しない特別な時間を意味するんだね。日本の文化や風習が関係してるなんて面白いわね。
ちょうど英語にも似たような表現があるのよ。"close-knit gathering" とか "just family" っていう言い方があるわ。でも、ニュアンス的には "private gathering" や "intimate gathering" が一番近いかもしれないわ。
ヒロシ: へえ、英語にも似た表現があるんだね。「水入らず」のことを英語で説明するのって難しいと思ってたけど、そんな感じで訳せばいいんだね。
エミリー: そうそう。"water" や "no water" っていう直訳は使わないけど、意味としては、家族や親しい人たちだけで、他の人がいない特別な時間を過ごすことよね。たとえば、「家族水入らずで食事を楽しんだ」は "We enjoyed a private family dinner." って感じになるかな。
ヒロシ: なるほど。水が入らないって、日本では邪魔が入らない、純粋に家族だけって意味合いが強いんだよね。
エミリー: 英語だと、「余計な人がいない」というよりは、もっと「親密で落ち着いた雰囲気」という意味合いが強いかな。たとえば、"It's a close family gathering." って言うと、家族だけで静かに過ごす時間っていうニュアンスになるの。
「プライベートな集まり」とか「親しい人たちだけの時間」って感じかしら。
でも、「水入らず」には日本ならではの文化的な背景のニュアンスがあるから、単なる言葉以上の重みがあるわね。
ヒロシ: その通り。例えば、お正月や特別な日に家族水入らずで過ごすっていうのは、特に大切な時間なんだよね。英語では同じニュアンスを完全に伝えるのは難しいけど、文化の違いが面白い部分でもあるね。
エミリー: そうね。英語だと、たとえば "family-only gathering" とか "a close-knit family time" みたいな表現もあるけど、日本の「水入らず」ほどの歴史や感覚が含まれているわけではないものね。でも、言葉の裏にある文化を理解することって、本当に興味深いし、大切よね。
解説
「水入らず」という日本語の言葉には、家族や親しい人だけで過ごすプライベートな集まりという意味があり、外部の人や干渉が入らない特別な空間を表現します。特に、日本では古くから「水」が外部の世界との接触を象徴し、玄関などに水を撒いて「けがれ」を洗い流す風習がありました。そのため、「水が入らない」ということは、外部の影響を受けない特別な空間を指す言葉として使われるようになりました。
英語では「private gathering」や「intimate gathering」などに訳されますが、日本の文化的背景を理解することで、単なる言葉以上の重みが感じられるでしょう。また、家族や親しい友人との特別な時間を指す「family-only gathering」や「close-knit family time」などの英語表現もありますが、ニュアンスの違いがあるため、文脈によって使い分けが必要でしょう。
参考:「水」にまつわる英語表現:日本的表現を英語にすると 運営者コラム