pickup
「使いこなす」って英語でなんて言う?便利な日本語の深いニュアンス

週末、ヒロシとエミリーは駅近くのベンチで他愛もない会話をしていた。話題は自然と語学の話に移り、ヒロシがふと「使いこなす」という言葉を口にした。それがエミリーの語感レーダーに引っかかる――。


ヒロシ: エミリーってほんとすごいよな。日本語のニュアンスとか言い回しとか、完全に「使いこなし」てるし。正直、俺が英語話せるようになったとしても、エミリーの日本語レベルになるのは…当分先だわ。

エミリー: えっ、そんなことないよ。ヒロシだって英語めっちゃわかるじゃん。でも、今「使いこなす」って言ったよね?「こなす」って、日本語によく出てくる気がする。どんなニュアンスなのか、ちゃんと知りたいな。私もそれに近い英語、教えてあげる!

ヒロシ: さすがエミリー、質問の切り返し早っ。えーとね、「こなす」ってのは、なんか上手に処理したり、コントロールしたりする感じ。たとえば「英語を使いこなす」って言ったら、ただ話せるだけじゃなくて、状況に応じて適切に使えるって意味。

エミリー: あ、なるほど。「使いこなす」って、単にできるってより、ちゃんと応用できるってことだよね。

ヒロシ: そうそう。でもね、「こなす」だけで使う場合は、ちょっとニュアンスが違ってくるんだ。たとえば「仕事をこなす」って言ったら、やらなきゃいけない仕事をちゃんと終わらせる、って感じ。処理する、消化する、みたいな。

エミリー: そっか、「使いこなす」はスキル系、「こなす」はタスク系ってこと?

ヒロシ: そういうイメージ。だから「パソコンをこなす」とかはあんまり言わないけど、「使いこなす」だったら自然。

エミリー: なるほどね〜。英語だと「こなす」は get through とか handle tasks、「使いこなす」は master とか use something skillfully に近い気がする。

ヒロシ: おお、それめっちゃしっくりくる!さすが、英語ネイティブの分析力。

エミリー: いやいや、ヒロシの説明が上手だからだよ〜。こういう話ほんと好き!

ヒロシ: 俺もこうやって一緒に話してると、こっちまで日本語のこと深く考えるようになるわ。やっぱ言語上達の秘訣って、興味と関心、それに向上心だよな…。どれもエミリーに負けてる気がするわ〜。

エミリー: またまた〜(笑)

解説

使いこなす(tsukaikonasu|」は、道具・言語・技術などを自分のものとして自在に扱える状態を表す言葉です。単に「使える」だけでなく、状況に応じて適切に応用できるスキルがあることを示します。つまり、「自由に」「自然に」「効果的に」使えるというニュアンスが含まれています。


英語では以下のような表現が近い意味を持ちます:

She really masters Japanese.

日本語を本当に使いこなしている
→ 「master」は習得して自在に扱えるレベルを意味し、「使いこなす」に非常に近い。

例文:She really masters Japanese—it’s like talking to a native speaker.
彼女は日本語を本当に使いこなしていて、ネイティブと話してるみたいだ。


He uses the software like a pro.

そのソフトをプロのように使いこなす
→ 「like a pro」は、技術的に高いレベルで使えることを示し、「使いこなす」に合う。

例文:He uses the software like a pro—it’s impressive.
彼はそのソフトをプロみたいに使いこなしてる。すごいよ。


She's good at handling complex tools.

複雑な道具を上手に扱える
→ 「handle」は少し控えめな表現だが、文脈によっては「使いこなす」の意味に近くなる。

例文:She’s good at handling complex tools and devices.
彼女は複雑な道具や機器も上手に使いこなせる。


一方、「こなす」だけだと…

こなす(konasu|こなす)」は、仕事やタスクを処理する、終わらせるという意味になります。スキルの高低や応用力よりも、「決まった作業を問題なく終える」というニュアンスに重きがあります。

例文:He can easily handle ten meetings a day.
彼は1日10件の会議をこなせる。

この場合、「処理能力が高い」「負担を感じずにやれる」といったニュアンスはありますが、「使いこなす」のような自在さ・応用力までは含まれません。

「使いこなす」を英語で説明すると?

Tsukaikonasu” is a Japanese verb that describes mastering and using something—like a tool, language, or skill—with ease and flexibility. It implies not only being able to use it, but using it skillfully and appropriately in different situations.

「使いこなす」とは、道具や言語、スキルなどを自在に使える状態を表す日本語の動詞です。ただ「使える」だけでなく、状況に応じて上手に、柔軟に使えるという感覚が含まれています。

When used on its own, konasu usually refers to handling or getting through tasks, responsibilities, or a certain volume of work. It focuses more on completing what needs to be done rather than on mastering a skill.

「こなす」が単独で使われるときは、たいてい「仕事」や「タスク」、「一定の量の物事」を処理する・やり遂げることを指します。スキルを自在に使うというよりは、「必要なことを終わらせる」「うまく対応する」といった意味合いが中心です。

  • 使いこなす(tsukaikonasu|使いこなす):日本語能力試験(JLPT)N1に該当します。
  • こなす(konasu|こなす):日本語能力試験(JLPT)N2に該当します。

※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。

おすすめの記事