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「ワンチャン」って犬のこと?英語学習者が混乱する日本語スラング

ヒロシとエミリーは週末に新作映画を見に行く約束をしていた。でも、当日ヒロシが乗っていた電車が遅延してしまう。映画の上映時間が迫る中、ヒロシは「バスで行けば、ワンチャン間に合うかも」とエミリーにメッセージを送る。それを見たエミリーはちょっと混乱して……?


ヒロシ: 電車、やばい。止まってる。たぶんバスに乗りかえれば、ワンチャン間に合うかも!

エミリー: え?犬のワンチャン?なんで犬で間に合うの?

ヒロシ: あはは、違う違う!そういえば「ワンチャン」って犬もそう言うよね。でもこれは「ONE CHANCE」の略!

エミリー: あ、そういうこと?でもちょっと発音違わない?犬の「ワンちゃん」って「ワ↓ンちゃん」だけど、今のは「ワン↑チャン」って感じ?

ヒロシ: そうそう!イントネーションが違うんだよ。犬のは完全に日本語で、「ワ↓ンちゃん」。でもスラングの方は英語由来だから、「ワン↑チャン」って上がる感じ。

エミリー: おもしろ〜い!じゃあ「ワンチャン間に合う」って、「一つのチャンスがある」って意味?

ヒロシ: そうそう。ギリギリだけど、間に合う可能性ある!ってときによく言う。「ワンチャン勝てる」とか「ワンチャン行ける」とか。

エミリー: でもね、アメリカ人がもし英語で "one chance" って言われたら、たぶんもっと真剣で重たい意味に聞こえるかも。
たとえば、"You have one chance to save the world." みたいな(笑)

ヒロシ: たしかにそれ、めっちゃ映画のセリフっぽい(笑)

エミリー: でしょ?だから日本の「ワンチャン」みたいな軽いニュアンスなら、"We might just make it" とか "There's a small chance" って感じで言うかな。

ヒロシ: なるほどね〜。英語だと意外と直接言わないのか。日本語ってこういうの、カタカナでサラッと変えちゃうの面白いよね。

エミリー: ほんとに!カタカナ語って、もとの意味から変わってるし、さらに省略までしてるでしょ?
日本語の外来語のカスタマイズ能力って、すごいというか…いい加減というか…ほんと驚きだわ(笑)

ヒロシ: まあノリで作ってノリで使う感じ、あるよね。意味わからんって思っても、なんとなく雰囲気で通じるし(笑)

エミリー: うん、でもそこが日本語の面白いとこだよね。私もワンチャン、今度使ってみようかな〜!

解説

ワンチャンは、「もしかしたらうまくいくかもしれない」「可能性は低いけどチャンスがある」といった意味を持つカジュアルなスラングです。もともとは英語の "one chance" が語源ですが、日本語では「ワンチャン〇〇できる」のように省略された形でよく使われます。

使われる場面には、楽観的・希望的なニュアンスがあり、「無理そうだけど、ひょっとしたらいけるかも」と軽く期待している気持ちが表れます。主に若者の間で広まった言葉ですが、今ではSNSや日常会話でも一般的に使われています。

英語では「ワンチャン」にぴったり対応するカジュアルなスラングはありませんが、以下のような表現が近いニュアンスを持ちます。

We might just make it.
ギリギリで間に合うかもしれない。
"might just" という言い回しが、「ギリギリいけるかも」「ちょっとだけ可能性ある」という雰囲気を出しています。

There's a slim chance.
可能性は低いけど、チャンスはある。
"slim chance" は「わずかな可能性」を意味し、「ワンチャン」の「無理そうだけど可能性はゼロじゃない」感じに近いです。

If we're lucky, we could still win.
運が良ければ、まだ勝てるかも。
「もし運がよければ」という条件つきでの希望を表す点が、「ワンチャン勝てる」などの使い方と似ています。

「ワンチャン」を英語で説明

"Wanchan" is a Japanese slang term derived from the English "one chance." It's used to express a slim but real possibility of success or something happening, often in casual, hopeful situations.
「ワンチャン」は英語の “one chance” を由来とする日本のスラングで、「可能性は低いけれど、うまくいくかもしれない」という希望的なニュアンスをカジュアルに表現します。

「ワンチャン」は日本語能力試験(JLPT)には登場しないスラングですが、日常会話やSNSで非常によく使われます。N2〜N1レベルの学習者であれば理解しておきたい語彙です。
※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。

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