
エミリーは最近「親離れ」という言葉を知ったが、日本とアメリカでどのように考え方が違うのか気になっていた。アメリカでは、大学進学と同時に家を出る人が多いと聞くが、それが一般的なルールなのかどうかはよくわからない。日本では親と一緒に住み続ける人も多いと聞くが、それは親離れできていないと見なされるのだろうか。気になったエミリーは、ヒロシに詳しく聞いてみることにした。
エミリー: 「親離れ」ってどういう意味? 最近、日本のドラマで聞いたんだけど、親から叱られている感じがしたんだけど、アメリカの「independence」と同じなのかな?
ヒロシ: うーん、少し違うかも。「親離れ」は、親と子の距離が物理的にも精神的にも離れることを指すんだよね。例えば、一人暮らしを始めたり、親の意見を気にせず自分の道を選んだりすること。
エミリー: なるほど。でも、日本では何歳くらいで親離れするの? アメリカだと大学に入るときに家を出る人も多いけど、人によるよね。
ヒロシ: 日本はアメリカより遅いことが多いかな。大学生でも実家に住む人は結構いるし、社会人になっても親と一緒に暮らす人も珍しくないよ。経済的な理由もあるし、家族のつながりを大切にする文化も影響していると思う。
エミリー: へえ、そうなんだ。アメリカでは18歳を過ぎたら自立するのが理想っていう考え方はあるけど、最近は大学の学費が高かったり、仕事を見つけるのが大変だったりして、実家に住む人も増えてるよ。だから「親離れしていない=悪いこと」っていう考え方も、昔よりは弱くなってるかも。
ヒロシ: 日本でも「親離れできていない」って言われると、ちょっとネガティブな感じがあるよね。エミリーが見た日本のドラマでも、そんな感じだったんじゃない?いつまでも親に頼っているように思われるから。でも、単に実家暮らしってだけなら、そこまで悪く言われることはないかな。
エミリー: 確かに、日本では家族のつながりを大事にするっていう文化があるもんね。でも、親のほうはどう思ってるの?
ヒロシ: 親によるけど、特に一人っ子の親は、子どもが家を出るのを寂しく感じることが多いと思うよ。でも、逆に「そろそろ自立してほしい」と思っている親もいるし、考え方はいろいろだね。
エミリー: じゃあ、「親離れする」って英語で何て言えばいい?
ヒロシ: 「become independent from parents」とか? あとは「leave the nest(巣立つ)」って表現もあるって聞いたことあるよ。
エミリー: そうそう! 「leave the nest」は、親元を離れて自立するっていう意味だね。日本の「親離れ」と似てると思う。逆に、「親離れできない人」は?
ヒロシ: うーん、「still dependent on parents」とか、「never left the nest」かな? 「mama’s boy(ママに甘える男の子)」っていう表現もあるけど、これはちょっと違う意味になるよね。
エミリー: ヒロシ、よく知ってるわね。「mama’s boy」は特に母親に甘える男性のことだから、「親離れできていない」とは少し違うニュアンスかも。
ヒロシ: なるほど。文化の違いが面白いね。日本では親離れが遅いって言われることもあるけど、親子の絆が強いっていう見方もあるし、どっちがいいとは言えないかもね。
エミリー: そうだね。どっちにも良いところがあるね! でも、私も考えてみたら、日本に留学してるから親とは離れて暮らしてるけど、学費とか生活費は親に支援してもらってるし、経済的にはまだ親離れできてないわね。
ヒロシ: 確かに、住む場所だけじゃなくて、経済的な自立も親離れの一部だもんね。でも、学生のうちは仕方ないんじゃない?
エミリー: そうだね。いつか完全に親離れできるように頑張るよ!
解説
今回の会話では「親離れ」について話しました。「親離れ」は、子どもが親の支えなしで自立することを意味しますが、日本とアメリカではそのタイミングや考え方に違いがあります。
① 親離れのタイミングの違い
アメリカでは一般的に、18歳を過ぎると親元を離れて一人暮らしを始めることが理想とされています。特に大学に進学するタイミングで寮やアパートに引っ越し、親とは別に暮らし始める人が多いです。ただし、大学の学費が高いために実家から通う学生や、卒業後に経済的な理由で実家に戻る「boomerang kids(ブーメラン・キッズ)」も増えています。
一方、日本では大学生になっても実家に住むことが珍しくなく、特に地方出身者でない限り、大学進学=親離れとはならないケースが多いです。さらに、社会人になってからも実家に住み続ける人が一定数おり、「パラサイト・シングル(親に依存する独身者)」という言葉が生まれるほど、親と同居し続ける人もいます。
② 経済的な自立と親離れ
アメリカでは「親離れ=経済的な自立」という考え方が強く、大学在学中でもアルバイトや奨学金を利用して学費や生活費を賄う人が多いです。しかし、日本では大学生の間は親の仕送りで生活するのが一般的であり、「大学生の間は親に頼るもの」という価値観が根付いています。そのため、「住まいが親元を離れていても、経済的に支援を受けているなら、まだ親離れしていない」と考えることもあります。エミリーのように、日本に留学して親元から離れていても、学費や生活費を親が負担している場合は、完全に親離れしたとは言えないかもしれません。
③ 親離れしないことへの評価の違い
アメリカでは「親離れできていないこと」は比較的ネガティブに捉えられがちです。特に30代、40代になっても親と暮らしている場合、「never left the nest(巣から出なかった)」や「still living in parents’ basement(まだ親の家の地下に住んでいる)」といった表現が使われ、社会的に未熟であるというイメージを持たれやすいです。そのため、親離れを促す文化が強く、親自身も「18歳になったら自立すべき」という考えを持つことが多いです。
一方、日本では親と同居し続けることが必ずしも悪いとは見なされません。特に家族の絆を大切にする文化があり、親の介護を見据えて実家に住み続ける人もいます。ただし、「いつまでも親に頼っている」と思われるとネガティブな評価を受けることがあり、「親離れできていない」という表現はやや否定的なニュアンスを含むことが多いです。
④ 親離れに対する考え方の変化
近年では、アメリカでも経済的な理由から若者が親と同居するケースが増えており、昔ほど「親離れしない=悪いこと」とは見なされなくなってきています。逆に、日本では晩婚化や少子高齢化の影響で「親離れの遅れ」が問題視されることもあり、少しずつ価値観が変わってきています。
このように、日本とアメリカでは親離れに対する考え方が異なりますが、どちらが正しいというわけではなく、それぞれの文化や社会状況による違いがあると言えます。
「親離れ」を英語で説明する
Oya-banare(親離れ)
Oya-banare refers to the process of becoming independent from one's parents, both physically and emotionally. This can include moving out, making independent life decisions, and not relying on parental support. In Japan, staying with parents as an adult is common, so "oya-banare" can sometimes carry a slightly negative nuance if a person is seen as overly dependent on their parents.
日本語訳
親離れとは、親から物理的・精神的に独立することを指します。例えば、一人暮らしを始めたり、親の支えなしで決断をしたりすることです。日本では大人になっても親と暮らす人が多いため、「親離れしていない」と言われると、親に頼りすぎているというネガティブな意味を持つことがあります。