
春休みに入った大学のキャンパスは少し静かになっている。ヒロシとエミリーは図書館のラウンジでおしゃべり中。ヒロシが最近読んだ記事の話から、「ジェネリック」という言葉の意味の変化について話を始めた。
ヒロシ: 最近さ、「ジェネリック」って言葉の使われ方がどんどん変わってきてるの知ってた?
エミリー: どういう意味で?私は「ジェネリック」って聞くと薬のことしか思い浮かばないけど。
ヒロシ: 実は最近、「ジェネリック家電」とか「ジェネリック高級ブランド」って言葉があって、安くて似てる商品をそう呼んでるんだよ。
エミリー: えー、それ初めて聞いたかも。でもそれって「模倣品」ってことだよね?なんか言葉の使い方、変わってない?
ヒロシ: そうなんだよ。そもそも日本人って、「ジェネリック医薬品」って言葉で初めて「ジェネリック」って知った感じなんだよね。で、その印象から「本物と同じ成分で安い=似てるけど十分使える」っていう意味を自分たちで広げちゃった感じ。
エミリー: なるほどね。でもその言葉の変化、ちょっと心配かな。アメリカでは「generic」って言ったらほぼ薬の話で、信頼できる正規の薬って印象があるから。
ヒロシ: じゃあアメリカには「ジェネリック家電」みたいな言い方はないんだ?
エミリー: ないない。もし似た商品を指すとしたら、「dupe」とか「knockoff」とか、「fake」や「imitation」みたいな言葉を使う。特にコスメとかだと「dupe」がすごく一般的かな。
ヒロシ: 「dupe」ってSNSでよく見るかも。「このリップはデパコスのデュープだ」みたいな。
エミリー: そうそう。でもね、私がちょっと憂いてるのは、「fake」や「imitation」って、昔からある言葉で、「これは偽物だよ」「本物じゃないけど似せてるよ」って、ちゃんと境界があったんだよね。でも「ジェネリック」とか「dupe」って、なんかその境界をぼかして、うまく“本物じゃないけど悪くないよ”って見せてる気がして。
ヒロシ: あー、それ分かるかも。たしかに「デュープ」って聞くと、お得な感じするし、「偽物」とは思わないかも。
エミリー: でしょ?だからもし「ジェネリック」の意味がどんどん広がって、「なんでもかんでも安いコピー」みたいに使われたら、本来の「ジェネリック医薬品」まで誤解されるかもしれない。それがすごくもったいない。
ヒロシ: 確かにね。言葉の変化って自然なことだし、完全には止められないけど、意味がぼやけすぎると困る場面もあるよなぁ。
エミリー: そう。カタカナ英語って特に、日本で独自に育ってるから、そのぶん本来の意味とギャップができやすいんだよね。
ヒロシ: こうやって話してみると、ひとつの言葉にも文化とか価値観とか、いろんなものが詰まってるんだなって実感するね。
解説
今回の会話では、「ジェネリック」という言葉が、日本でどのように変化してきたかについて話していました。もともとは「ジェネリック医薬品(generic drugs)」という用語から来ており、「特許が切れた医薬品と同じ成分で作られた安価な薬」を意味していました。
しかし日本では、この言葉が「本物に似た、安価で十分使える商品」を指すようになり、「ジェネリック家電」「ジェネリックブランド」などの形で広がっています。これが英語の「generic」の使い方とは異なり、消費者文化の中で独自に意味が発展している例です。
一方、英語圏では昔から「fake」「imitation」「knockoff」などが使われており、どれも「本物ではない」ということを明確に示します。しかし最近は「dupe」という言葉が若者文化やSNSの中で好まれ、「似ていてお得、賢い選択肢」というニュアンスでポジティブに使われるようになっています。
このように、似ているようで微妙に違う言葉たちの意味と使い方を、以下の表で整理してみました。
言葉の比較表:模倣品を表す英語表現の違い
用語 | 意味・定義 | ニュアンス | 使用場面 | イメージ・評価 |
---|---|---|---|---|
Fake | 本物になりすました偽物(意図的に騙す) | ネガティブ、詐欺的 | ブランド品、偽札など | 悪質、違法の可能性が高い |
Imitation | 本物を真似たが本物とは言っていない模倣品 | 中立的またはややネガティブ | アクセサリー、家具など | 正直な模倣、安っぽい印象もある |
Knockoff | 見た目が似ている安価なコピー商品 | カジュアル、軽くネガティブ | 衣類、バッグ、靴など | 品質が劣る、コピー感が強い |
Dupe | 性能・見た目が本物に似ていて、コスパが良い模倣品 | ポジティブ寄り、SNS的 | 化粧品、ファッションなど | 賢い選択、バズりやすい |
ジェネリック(日本語) | 本物に似た安価な代替品(元は医薬品用語) | 中立〜ポジティブ | 家電、ブランド品、コスメなど | お得、手軽、似ていればOK |
例文:
- Generic drugs are just as effective as brand-name drugs.
(ジェネリック医薬品はブランド薬と同じくらい効果的です。) - We bought a generic brand of cereal to save money.
(お金を節約するために、ノーブランドのシリアルを買いました。) - This lipstick is a dupe for the Dior one.
(このリップはディオールのやつに似た模倣品です。) - That’s a fake Rolex. Don’t be fooled.
(それは偽物のロレックスだよ。騙されないで。) - She wore imitation pearls, but they looked real.
(彼女はイミテーションの真珠をつけていたけど、本物に見えたよ。)
取り上げられた言葉を英語で説明する
Jenerikku(ジェネリック)
In Japanese, "ジェネリック" is a loanword from English that has become a common katakana word. Originally, it referred to generic drugs—low-cost alternatives to brand-name medications that contain the same active ingredients. However, in modern Japanese usage, the meaning of "ジェネリック" has evolved beyond its original medical context. It is now often used to describe cheaper lookalike versions of popular products, such as "ジェネリック家電" (generic electronics) or "ジェネリックブランド" (generic luxury items).
This extended use differs from how "generic" is typically used in English, where it still primarily refers to medications or unbranded products. The Japanese adaptation reflects a broader trend in katakana English, where foreign words take on new, locally developed meanings.
日本語では「ジェネリック」はもともと「ジェネリック医薬品」を指して使われていたが、現在では家電やブランド品などの安価な代替品を表す言葉としても使われるようになっている。このような意味の変化は、日本語におけるカタカナ英語の特徴でもあり、英語本来の用法とは異なる点がある。
この言葉は日本語能力試験(JLPT)N2に該当します。
※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。語彙の出現頻度や専門性に応じて、参考レベルを判断しています。