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「義務」しなければならないことの英語のニュアンス

エミリーは「義務(ぎむ)」という言葉の使い方に少し戸惑っていた。法律で決められた義務(納税など)は理解できるが、学生が勉強することや親が子どもを教育することも「義務」と呼ばれることに違和感を感じていた。英語では「duty」や「responsibility」だけでなく「obligation」も使われるが、日本語の「義務」とどう違うのか、ヒロシに相談することにした。


エミリー:義務」って言葉あるでしょ。義務にはどこまでのことを言うの? 法律で決められていることは義務って言えるのはわかるけど、たとえば、「学生は勉強するのが義務」とか「親は子どもを教育するのが義務」とか、法律じゃなくても義務って言葉は使われるよね?

ヒロシ: そうだね。「義務」は簡単にいえば、「しなければならないこと」って意味だけど、法律で決まってる義務もあれば、社会的な義務もあるよ。

エミリー: 社会的な義務?

ヒロシ: たとえば、税金を払うのは法律で決まってるから「国民の義務」って言う。でも、学生が勉強するのは法律では決まってないけど、社会的には「学生なんだから勉強するべき」って考えられてるから、これも義務って言われることが多い。

エミリー: なるほど。でも、それって人によって考え方が違うよね? たとえば、「家事は女性の義務」みたいな古い考え方を持ってる人もいるし、それを義務って言われると違和感がある。

ヒロシ: 確かにね。法律で決まってる義務はみんなに共通するけど、社会的な義務は時代や文化、個人の価値観によって変わることがある。だから、全部を「義務」と一括りにすると、ちょっと曖昧になることもあるね。

エミリー: 英語だと「duty」や「obligation」って訳すことが多いけど、日本語の「義務」とは少し違う気がするんだよね。

ヒロシ: どう違うの?

エミリー: 「obligation」は特に法律や契約による「強制的な義務」に使うことが多いんだよね。たとえば、"People have a legal obligation to pay taxes." みたいに言うと、法律で決まってるから絶対にやらなきゃいけないっていう感じになる。

ヒロシ: じゃあ、「duty」は?

エミリー: 「duty」は法律的な義務にも使えるけど、道徳的な責任や役割にも使えるんだよ。たとえば、"It is a citizen's duty to pay taxes." って言うと、法律で決まってるというよりは「市民として当然やるべきこと」っていうニュアンスがあるかな。

ヒロシ: なるほど。じゃあ、「responsibility」は?

エミリー: 「responsibility」は義務というより「責任」に近い感じ。たとえば、"Parents are responsible for their children's education." って言うと、「親には子どもの教育をする責任がある」っていう意味で、法律的な強制力はそこまで感じられないよ。

ヒロシ: そう考えると、日本語の「義務」は英語よりも幅が広いかもね。法律的な義務も、社会的な義務も、どっちも「義務」って言えちゃうから。

エミリー: そうそう。だから、日本語の「義務」を英語に訳すときは、文脈をしっかり考えないと誤解されるかもしれないね。

解説

「義務(ぎむ)」は、日本語で「しなければならないこと」を指しますが、その範囲は広く、法律で定められた義務(納税の義務、教育の義務など)と、社会的・道徳的な義務(学生の勉強、親の子育てなど)が含まれます。

英語では「義務」にあたる言葉として「duty」、「obligation」、「responsibility」の3つがよく使われます。

  • obligation は特に法律や契約による「強制的な義務」に使われることが多い。
    例:People have a legal obligation to pay taxes.(人々には税金を払う法的義務がある)
  • duty は法律的な義務にも、道徳的な責任にも使われる。
    例:It is a citizen's duty to pay taxes.(税金を払うのは市民の義務だ)
  • responsibility は義務よりも「責任」に近いニュアンス。
    例:Parents are responsible for their children's education.(親は子どもの教育に責任がある)

日本語の「義務」は、法律上の義務と社会的な義務の両方を指すため、英語に訳す際は適切な単語を選ぶ必要があります。

「義務」を英語で説明する

  • Gimu(義務): A Japanese word meaning "duty" or "obligation." It refers to something that one must do, either legally (e.g., paying taxes) or socially (e.g., students studying). Unlike in English, where "obligation" often implies a legal requirement, "gimu" can also include societal expectations that vary by culture and personal beliefs.


日本語訳:「義務」は「しなければならないこと」を意味し、法律的な義務(税金を払うこと)や社会的な義務(学生が勉強すること)を含みます。英語の「obligation」は法律的な強制を伴うことが多いですが、日本語の「義務」はもう少し広い意味を持つことがあります。

「義務」は日本語能力試験(JLPT)N3に該当します。

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