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「〜づらい」と「〜にくい」の違いを英語で学ぼう

ある昼休み、ヒロシとエミリーは大学の近くにある和食の食堂にやってきた。ここは刺身が美味しいと学生の間で評判。前からエミリーが「一度行ってみたい」と言っていたお店だ。だけど、まだ箸の使い方に自信がないエミリーは、ちょっと不安であった…。


エミリー: ねえヒロシ、この店ほんとにお刺身おいしいの?

ヒロシ: うまいよ。特にサーモンが人気。前にエミリーが気になるって言ってたじゃん。

エミリー: うん、来てみたかったんだけどさ…。私、まだお箸ではちょっと食べづらいわ。

ヒロシ: あー、そうなんだ。フォークに変えても全然おかしくないよ?だったら僕もフォークで食べようか?

エミリー: いや、それはいいよ。私は私でがんばる。

ヒロシ: そっか。でも今「食べづらい」って言ってたけど、実は「食べにくい」って言う方が正しいかな。

エミリー: え、そうなの?違いあるの?

ヒロシ: うん、ちょっとだけね。「〜づらい」は、気持ち的・心理的にやりにくいときによく使うんだよね。逆に「〜にくい」は、物理的にやりにくいときに使うことが多いかな。

エミリー: ふむふむ。じゃあ、私の場合は箸がまだ上手く使えないから、物理的に難しいってこと?だから「食べにくい」の方が合ってる?

ヒロシ: そうそう。もちろん「食べづらい」でも意味は伝わるし、変じゃないけどね。ニュアンスの問題って感じ。

エミリー: 日本人はちゃんと使い分けてるの?

ヒロシ: たぶん、意識して使い分けてる人は少ないんじゃないかな。感覚で使ってる人が多いし、正直、そのうちどっちか消えてもおかしくないと思ってる(笑)

エミリー: 面白いね。英語だったら、「〜づらい」は “emotionally difficult to...”、「〜にくい」は “physically hard to...” って言い換えるかも。

ヒロシ: うん、その訳めっちゃしっくりくるわ!

エミリー: それにしても、フォークで食べようって言ってくれたの、ありがとう。やさしいね。

ヒロシ: いやいや、気にすんなって!

解説:「〜づらい」と「〜にくい」

意味と使い分け

  • 〜づらい(辛い)
     心理的・感情的にやりにくいことを表す言葉。たとえば、相手に気を使って言い出しにくい、恥ずかしい、気まずいなど、気持ちの問題で「しにくい」と感じるときに使われる。
  • 〜にくい(難い)
     物理的・現実的にやりにくいことを表す言葉。手の動きが難しい、環境がよくない、操作が複雑など、客観的な状況が原因で「しにくい」場合によく使われる。

英語での表現

「〜づらい」も「〜にくい」も、英語では多くの場合、どちらも “hard to 〜”“difficult to 〜” と訳される。しかし、このように同じ英語表現になってしまうことで、日本語の細かなニュアンスが消えてしまう可能性がある

そのため、英語でニュアンスの違いを補足したい場合には、以下のように説明するとわかりやすい:

  • 〜づらいemotionally hard to 〜(感情的・心理的にしにくい)
  • 〜にくいphysically hard to 〜(動作や環境的にしにくい)

ただし、これらの副詞(emotionally / physically)は補助的なもの。実際の英訳では、「hard to」だけでは足りないと感じたときに、気持ちや状況を具体的に言い換えて訳すことが重要になる。

英語にする場合の注意点

翻訳の際、「hard to」だけで訳してしまうと、日本語の持つ感情や状況の違いが伝わらないことがある。例えば:

  • 「言いづらい」 → It's hard to say. よりも、
     I don’t know how to say this.It’s awkward to say, but... のような表現の方が、気まずさや遠慮のニュアンスをより自然に伝えられる場合がある。

つまり、翻訳は単語を置き換えるだけではなく、「なぜ難しいのか」を考えて、気持ちまで伝えることが大切

例文

  • 言いづらい:恥ずかしい、気まずいから言いにくい
     → It’s awkward to say. / I don’t know how to say this.
  • 食べにくい:箸が使いにくいなどの物理的な理由
     → It’s hard to eat with chopsticks.
  • 読みづらい:デザインや見た目の問題で読みにくい
     → This font is hard to read.
  • 歩きにくい:道が滑りやすい、狭いなどの理由
     → It’s hard to walk here.

「づらい」と「にくい」を英語で説明

Both “〜づらい” and “〜にくい” are used to describe something that is hard to do, and in English they are often translated the same way—“hard to” or “difficult to.” However, there is a subtle difference between the two in Japanese.

“〜づらい” implies emotional or psychological difficulty. It’s used when something is hard to do because of feelings like embarrassment, hesitation, or awkwardness.

“〜にくい” refers to physical or objective difficulty. It’s used when something is hard to do due to practical reasons, like complexity, unfamiliarity, or physical conditions.

In English, this difference is often lost, so understanding the context is key. While both may be translated as “hard to,” the nuance in Japanese helps express why something is difficult.

「〜づらい」と「〜にくい」は、どちらも「〜しにくい」という意味で使われ、英語ではしばしば同じように “hard to” や “difficult to” と訳されます。ただし、日本語にはこの2つの間に微妙な違いがあります。

「〜づらい」は、感情的・心理的な難しさを表します。恥ずかしい、ためらいがある、気まずいといった気持ちの理由で何かがやりにくいと感じるときに使います。

「〜にくい」は、物理的・客観的な難しさを表します。操作が難しい、慣れていない、状況が悪いといった現実的な理由で何かがやりにくいときに使われます。

英語ではこの違いが表現に出にくいため、文脈から判断することが大切です。どちらも “hard to” と訳されることが多いですが、日本語では「なぜそれが難しいのか」という理由まで表現することができます。


「づらい」「にくい」は日本語能力試験(JLPT)ではN3レベルに相当します。
※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。

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