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英語ではどう訳す?日本語の「眼中にない」を解剖する

午後のキャンパス。サークル棟の前で、ヒロシとエミリーは並んで座っていた。サッカーの練習帰りで少し汗ばむヒロシは、スマホを見ながらため息をついた。エミリーはアイスコーヒーを飲みながら、彼の様子をさりげなくうかがっている。


ヒロシ: あー、なんかやる気なくなるわー。

エミリー: どうしたの?さっきの練習、いい感じだったじゃん。

ヒロシ: いや、それより…ミサキがさ、あの経済学部のイケメンばっかり見ててね・・・。

エミリー: ミサキさん?気になってたんだっけ?

ヒロシ: まあね。でも完全に俺、「眼中にない」って感じだったな。

エミリー: えっと…「眼中にない」って、何?

ヒロシ:眼中というのは、目の中、眼中にないというのは、「目に入ってない」って意味なんだ。

つまり、存在すら気にされてないってこと。

エミリー: それって英語で言うなら…ちょっと違うかもしれないけど、“not even on her radar”って表現が近いかな。レーダーに反応すらしてないって感じ。

ヒロシ: あー、なるほど。レーダーにひっかからないって表現、ちょっとおもしろいな。たしかにそんな感じかも。視界にすら入ってないってことだよな。

エミリー: ただ、「眼中にない」って言葉のほうが、もっと直接的に感じるかも。英語よりも強く無関心を示してる印象。

ヒロシ: うん、たしかに。言われてみれば、日本語の方が突き放す感じがあるな。

エミリー: そうだね。表現としては簡単だけど、結構キツい言い方なんだね。

ヒロシ: だからこそ、口に出すときはちょっと気をつけた方がいいかも。

解説:「眼中にない」という言葉について

「眼中にない(がんちゅうにない)」とは、文字通り「目の中に存在していない」、すなわち「意識の中に存在しない」「まったく関心がない」という意味を持ちます。

誰かや何かが自分の興味・関心の対象にすらなっていないことを表し、しばしば恋愛や人間関係、競争などの文脈で用いられます。

たとえば:

  • 「彼女は僕のことなんて眼中にないよ」
  • 「あのチームはうちのtチームなんて眼中にないと思ってる」

語構造の分析

「眼中」は「眼(目)」と「中(なか)」から成り、「目の中=視野・意識」の意味になります。そこに「ない」がつくことで、「視野に入っていない」「存在すら認識していない」ことを示します。

英語訳との構造比較

最も近い英語表現は “not even on someone’s radar” です。この表現も、存在が認識されていないことを意味し、関心の外にあるニュアンスを持ちます。ただし、英語ではやや比喩的で軽い印象になることが多く、日本語の「眼中にない」の持つ冷たさや無関心の強さとは差があります。

近いが異なる英語表現との比較

  • “I don’t care about him/her.”(→明確な拒否・否定が強く、感情的)
  • “He/She means nothing to me.”(→関係を断つ強さがある)
  • “I didn’t even notice.”(→状況によっては無意識の軽さ)

「眼中にない」は、無視や軽視に近い意味を持ちながらも、あくまで「存在を意識していない」という無関心のニュアンスに重きがあります。

文化的・社会的意味の翻訳

日本語では、「気にかける」「存在を意識する」ことに重みがあり、それが人間関係の温度感に直結します。「眼中にない」は、その反対である「完全な無関心」を示すことで、相手との距離感や冷たさを際立たせます。

「眼中にない」を英語で説明する

“Ganchuu ni nai” describes a state in which someone or something isn’t even within a person’s awareness or consideration. It implies such a complete lack of interest that the person or thing doesn't register at all — like being invisible.

例文:

She doesn’t even acknowledge my existence — I’m completely invisible to her. I’m not even on her radar.

(彼女は僕の存在をまったく認識していない。まるで透明人間のようで、彼女の意識にすら引っかかっていない。)

He treated our team like we weren’t even worth noticing. We were totally outside of his awareness.

(彼はうちのチームなんて気にする価値もないという態度だった。まさに「眼中にない」って感じだったよ。)

JLPTの目安レベル

N2〜N1レベル

※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。

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