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ルーズな人とはどんな人? 英語と日本語の違いを知ろう。

午前10時の授業が始まって10分ほど経った頃、ドアが静かに開き、サトシが慌てて教室に入ってきた。髪は寝癖のままで、ノートも持っていないようだった。ヒロシとエミリーはすでに席に座っており、サトシの姿を見たひろしはエミリーに話しかける。


ヒロシ: エミリー……、あれ、サトシ、また遅刻?

エミリー: うん、10分以上遅れてる。最近、ちょっと気になるよね。

ヒロシ: ほんと、ちょっとルーズになってきたかもな、あいつ。

エミリー: 「ルーズ」って、日本語でどういう意味になるの?

ヒロシ: え?えっと……時間にルーズとか、締まりがないっていうか、だらしないっていうか。英語でそうような意味で使うんじゃないの?

エミリー: なるほど、英語の“loose”から来ていると思うけど、英語では「ルーズ」って、物理的にゆるいとか、規則に厳しくないって意味で、だらしないというか、性格的な意味はないな。

ヒロシ: あー、そうなんだ。日本語のルーズって、性格的に「だらしない」って意味が強い気がする。

エミリー: うん、たとえば時間にルーズ、人間関係にルーズ、服装にルーズ…って使い方が多いよね。

ヒロシ: あー、そうなんだ。日本語のルーズってだらしないって感じだけど、英語と違うんだね。これも、和製英語なのかな。

エミリー: うん、そう思う。外来語だけど、日本で独自の意味になってるタイプの言葉だね。

ヒロシ: そうそう、バイトでも「身だしなみがルーズだと印象悪いよ」って言われたことあるし。

エミリー: じゃあ、「ルーズ」って言葉には、ネガティブなニュアンスがけっこうあるのかな?

ヒロシ: あるある。たぶん真面目さがないって思われる感じ?

ヒロシ: そういえば、昔「ルーズソックス」っていうのが流行ったんだよ。女子高生がすっごい長くてゆるゆるの靴下を履いててさ。それが“ルーズ”ってことで、英語のlooseの意味と合っているといえるな。。

エミリー: あ、知ってる。日本の女子学生のコスプレ画像で見たことある。ルーズソックスかぁ。

ヒロシ: うん、足首のところがだぶだぶで。今も一部でリバイバルしてるみたいだけど、当時はすごいブームだったよ。

エミリー: 同じ「ルーズ」でも、英語に沿った使い方と日本語独自の使い方があるんだね。

ヒロシ: たしかに、日本語ってそういうのけっこう多いかも。

解説:「ルーズ」という言葉について

「ルーズ」は英語の“loose”に由来するカタカナ語ですが、日本語で使われる場合、意味やニュアンスがかなり異なります。日本語の「ルーズ」は、主に以下のような意味で使われます:

  • 時間や規律、生活態度において「だらしない」「きちんとしていない」
  • 緊張感や責任感が欠けている様子

語構造の分析:

元は英語“loose”(緩んだ、ゆるい)ですが、日本語に取り入れられた際に、「管理が甘い」「節度がない」といった否定的な意味が強調されました。その結果、日本語の「ルーズ」は「気が緩んでいる」「生活態度がきちんとしていない」という評価語として使われる傾向があります。

ただし、「ルーズソックス」のように、物理的な“loose”(ゆるい)という意味で使われるケースもあります。1990年代に女子高生の間で流行した「ルーズソックス」は、足首がだぶだぶと緩んだ靴下を指しており、英語本来の意味に近い用法です。このように「ルーズ」には意味の分岐が見られます。

英語訳との構造比較:

英語の“loose”は、物理的な「ゆるみ」だけでなく、規則や秩序に対して寛容であることも意味します(例:“a loose interpretation of the rules”)。一方、日本語の「ルーズ」は、感覚的・文化的に「怠慢」「いい加減」といった道徳的評価を含みます。

また、英語 “loose” の基本的な意味は、以下のような「物理的・構造的なゆるさ」です:

  • not tight(例:a loose shirt / ゆるいシャツ)
  • not firmly fixed(例:a loose screw / 緩んだネジ)
  • not strictly controlled(例:a loose interpretation / ゆるい解釈)

このように、“loose” は「制約がない・自由である」といった中立的またはややポジティブなニュアンスを持つのが一般的です。

ただし、以下のような表現では、文脈により性格的評価が生じることもあります:

  • a loose cannon(危なっかしい人)
  • loose morals(道徳的にルーズ)
  • to be loose with money(浪費癖がある)

これらは比喩的・慣用表現であり、“loose” 単体に性格的評価の語感があるわけではありません。

日本語「ルーズ」の特殊性:

日本語の「ルーズ」は、“loose”の物理的意味から独立して、性格・生活態度の評価語として使われます:

  • 時間にルーズ → 時間を守らない(=だらしない)
  • お金にルーズ → 管理できない(=無計画)
  • 人間関係にルーズ → 節度がない・軽率

これらは文化的に重視される「誠実さ」「節度」「自己管理」への期待が裏切られた時に使われる評価語です。

英語との違いのまとめ:

意味・使い方英語 “loose”日本語「ルーズ」
基本意味緩い、束縛がない締まりがない、だらしない
評価の含意中立〜やや自由寄り基本的にネガティブ
性格的な意味基本的にないある(性格・態度の評価)

このように、「ルーズ」は単なるカタカナ英語ではなく、日本語社会で独自の道徳的評価を帯びた言葉として定着している点が特徴です。。

「ルーズ」を英語で説明する

In Japanese, "ruuzu" (ルーズ) is a loanword from English "loose," but it often means someone is careless, undisciplined, or sloppy—especially about time, appearance, or personal responsibility. In some contexts, like "loose socks," it retains the original meaning of physically loose or baggy.

日本語の「ルーズ」は、英語の“loose”を語源としながらも、時間や生活態度にだらしない、責任感に欠けるという否定的な意味で使われます。ただし、「ルーズソックス」のように、物理的にゆるいという元の意味で用いられることもあります。

JLPTの目安レベル

N2〜N1レベル

※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。

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