エミリー: ヒロシ、見て。あそこのテーブルに食べかけのパンがそのまま捨てられてるみたい。「もったいない」わね。
ヒロシ: あ、本当だ。確かにこういうのを見ると「もったいない」って思うよね。でも、エミリーが「もったいない」って言ったの、なんか新鮮だな。日本語の「もったいない」って結構深い意味があるの知ってる?
エミリー: そうなの?捨てるのが惜しいとか、無駄にしちゃダメっていう感じかなって思ってたけど、もっと意味があるの?
ヒロシ: そうそう。それも正しいけど、「もったいない」は元々「勿体」っていう言葉から来てて、これは「本来あるべき姿」みたいな意味なんだ。それに「ない」が付いて、「本来の価値を十分に活かせていない」って感じになったんだよ。だから、ただ「無駄」っていうより、その物や時間、人の才能とかが持ってる本来の価値をちゃんと大事にできてない時にも使えるんだ。
エミリー: 本来の価値…なるほど。それで食べ物だけじゃなくて、いろんな場面で使われるんだね。たとえば?
ヒロシ: たとえば、「あの人の才能を活かさないなんて、もったいない」とかね。それだけじゃなくて、時間を無駄にする時や、環境を汚してしまう時にも「もったいない」って言える。たとえば、まだ使えるものを捨てるのもそうだし、自然資源を無駄遣いするのも「もったいない」だよ。
エミリー: すごいなあ。英語だと「waste」くらいしか思い浮かばないけど、「もったいない」ってもっと広い意味を持ってるね。文化的にも深い言葉だね。
ヒロシ: そうだね。実は、この「もったいない」って言葉、ノーベル平和賞を受賞したケニアの環境活動家、ワンガリ・マータイさんが広めてくれたんだ。彼女が日本に来た時にこの言葉に感銘を受けて、「mottainai」って英語にそのまま取り入れて世界中に広めたんだよ。
エミリー: 本当?知らなかった!それって日本語がそのままグローバルに使われるってすごいことだね。彼女はどんな風にこの言葉を説明してたの?
ヒロシ: 彼女は、「もったいない」を「Reduce, Reuse, Recycle」に感謝の気持ちを加えた言葉として紹介してたんだ。「もったいない」には物を大切にするだけじゃなくて、その背後にある努力とか恩恵にも感謝する気持ちが含まれてるからね。
エミリー: なるほど。確かにその考え方は、環境問題だけじゃなくて生活全般にも応用できるね。英語では「wasteful」や「such a waste」みたいな表現はあるけど、「もったいない」みたいに感謝の気持ちまで含めるのは難しいかも。
ヒロシ: そうだよね。でも、エミリーみたいに「もったいない」をそのまま英語で使ったり、広めたりすることで、日本語の素敵な部分がもっと知られるようになるかもね。
エミリー: 確かに。じゃあ、これからも「もったいない」を日本語のまま使ってみようかな。ヒロシ、教えてくれてありがとう!
ヒロシ: いやいや、エミリーが興味持ってくれるのが嬉しいよ。これからもどんどん「もったいない」って使っていこう!
解説
もったい
「もったいない」や「もったいぶる」の元になっている「もったい」は、本来「物の価値や格式」「そのものが持つ本質的な尊さ」を表す言葉です。この「もったい」という考え方が、後に「もったいない」や「もったいぶる」という形で広がりました。それぞれの言葉の意味と使い方を見てみましょう。
もったいない
「もったい」に「ない」が付いた表現で、「本来の価値を活かせていない」「尊いものが無駄になっている」という意味です。この言葉は、食べ物や物だけでなく、時間や才能など、さまざまな対象に対して使われます。
- 例文:
- 食べ物を捨てるなんて、もったいない。
(It's such a waste to throw away food.) - 彼の才能を活かさないなんて、もったいない。
(It's a waste not to make use of his talent.)
- 食べ物を捨てるなんて、もったいない。
また、環境活動家ワンガリ・マータイさんが「mottainai」という形でこの言葉を世界に広め、物を大切にするだけでなく、感謝の心を含む価値観として紹介したことでも知られています。
- We should adopt the spirit of mottainai to reduce waste and appreciate what we have.
もったいぶる
「もったい」から派生した表現で、「本来の価値を大げさに見せる」「わざと重要そうに振る舞う」というニュアンスを持ちます。この表現は、少しネガティブな印象を与えることが多いです。
- 例文:
- 彼女はもったいぶってなかなか答えを言わなかった。
(She made a fuss and didn’t give an answer right away.) - もったいぶらずに、もっと早く教えてくれればいいのに。
(You didn’t have to make such a big deal out of it; you could’ve told me sooner.)
- 彼女はもったいぶってなかなか答えを言わなかった。
- 英語では「to act pretentious」や「to beat around the bush」などが近い表現です。
まとめ
「もったい」は「物の本質的な価値や尊さ」を表す言葉で、そこから「もったいない」(無駄にすることを惜しむ)や「もったいぶる」(価値を必要以上に強調する)といった表現が生まれました。それぞれの使い方を理解することで、日本語の言葉の深さをより感じられるでしょう!
「もったいない」を英語で説明する。
Mottainai is a Japanese word that embodies the idea of avoiding waste while showing respect and gratitude for the resources, time, or efforts involved in something. It is often translated as "what a waste," but the meaning goes beyond just wastefulness. It reflects the value of appreciating the inherent worth of objects, food, time, and even talents, emphasizing the importance of using them responsibly.
The word "mottainai" gained international recognition when Kenyan environmentalist and Nobel Peace Prize winner Wangari Maathai promoted it as a principle for sustainable living. She explained "mottainai" as encompassing the concepts of "Reduce, Reuse, Recycle," along with a sense of gratitude for what we have. This philosophy applies not only to environmental conservation but also to daily life, encouraging people to live thoughtfully and minimize waste.
日本語訳
もったいないとは、何かを無駄にしないだけでなく、その背後にある資源、時間、または努力に対する敬意や感謝の気持ちを表す日本語の言葉です。「もったいない」はよく「What a waste(なんて無駄だ)」と訳されますが、その意味は単なる「無駄」にとどまりません。物や食べ物、時間、才能などが持つ本来の価値を大切にし、それらを責任を持って使うことを強調する言葉です。
この「もったいない」という言葉は、ケニア出身の環境活動家でノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏が世界に広めました。彼女は、「もったいない」という考え方を「Reduce(削減)」「Reuse(再利用)」「Recycle(リサイクル)」に感謝の気持ちを加えた理念として説明しました。この哲学は、環境保護だけでなく日常生活にも適用され、人々が意識的に暮らし、無駄を最小限にするよう促しています。
ワンガリ・マータイの略歴
ワンガリ・マータイ (Wangari Maathai) は、1940年にケニアで生まれた環境活動家であり、2004年にアフリカ人女性として初めてノーベル平和賞を受賞しました。彼女は東アフリカで初めて博士号を取得した女性であり、1977年に「グリーンベルト運動」を設立。女性たちと共に植樹活動を行い、環境保護と経済的自立を推進しました。
また、彼女は日本滞在中に「もったいない」の精神に感銘を受け、この概念を「Reduce, Reuse, Recycle」に感謝を加えた国際的なスローガンとして広めました。彼女の活動は環境保護と平和構築を結びつけ、持続可能な社会への道を示しました。2011年、卵巣がんで71歳で亡くなりましたが、その遺産は現在も生き続けています。
参考