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「持て余す」困るほどの“ありすぎ”を英語でどう伝える?

ヒロシはカレンダーを前に悩んでいる。せっかくの休みの予定がなくて困っている様子である。


ヒロシ: あ〜…やばい、三連休まるまる時間があんのに、何も予定ない。完全に時間を持て余してるわ…。

エミリー: 「時間を持て余す」って、前にも聞いたけど…ただ「余ってる」って意味じゃないんだよね?

ヒロシ: そうそう。単に「たくさんある」ってわけじゃなくて、「ありすぎて困る」って感じ。うまく使いきれないというか。

エミリー: Like “too much of something and you don’t know how to handle it”?

ヒロシ: Exactly!たとえば、時間だけじゃなくて、気持ちとかにも使えるよ。

エミリー: 感情にも?どうやって?

ヒロシ: 「怒りを持て余す」とか、「エネルギーを持て余す」って言ったりする。「爆発しそうだけど、出す場所がない」みたいな。

エミリー: あーなるほど。“He was overwhelmed with anger and couldn’t deal with it”みたいな状況?

ヒロシ: そう、それ!あと、「才能を持て余す」とかも言うよ。才能はあるのに、発揮するチャンスがなくてもどかしいときとか。

エミリー: 面白い表現だね。英語だと一語では言いにくいかも…。

ヒロシ: そうなんだよ。日本語のこういう感情の機微って、翻訳難しいよね。

エミリー: 任せて。じゃあ、「持て余す」って表現、ちょっと掘り下げてみようか。

解説

「持て余す(もてあます)」という言葉は、「自分の手にあるものを、うまく扱うことができずに困っている状態」を表します。これは単なる「余っている」状態とは異なり、「その存在が重荷になる」あるいは「使い方が分からず持て余してしまう」というニュアンスが含まれます。

この表現は物理的な対象だけでなく、抽象的な対象にもよく使われます。たとえば、時間・感情・才能・エネルギー・責任などです。特に、自分の意志とは関係なく与えられているものや抱えているものに対して使われる傾向があります。

よく使われる言い回しには、次のようなものがあります:

  • 「時間を持て余す」:暇すぎて時間の使い方に困っている状態
  • 「怒りを持て余す」:強い怒りをどこにもぶつけられず苦しんでいる状態
  • 「才能を持て余す」:能力はあるが、それを発揮する機会や場所がなく困っている状態
  • 「エネルギーを持て余す」:活力がありすぎて、使いどころがないままもてあましている状態

このように、「持て余す」は量が多いこと自体ではなく、「その多さゆえに活かせず、むしろ困ってしまう」状況で使われます。裏返すと、それはポテンシャルの裏返しでもあります。

例文(英語 → 日本語訳)

  • I have too much free time and don’t know what to do with it.
    (暇すぎて、時間を持て余している)
  • He was filled with anger and couldn’t find a way to let it out.
    (彼は怒りを持て余していて、どう発散していいか分からなかった)
  • She has great talent but no opportunity to use it.
    (彼女は才能を持て余していて、活かせる場がない)
  • After quitting the club, he had so much energy he didn’t know what to do with.
    (部活をやめた後、エネルギーを持て余していた)

「持て余す」を英語で説明する

"Moteamasu" is a Japanese expression used when someone has more of something—such as time, emotion, talent, or energy—than they can manage, control, or find a use for. It implies being overwhelmed not by a lack, but by an excess, and feeling lost about what to do with it. The term often describes situations where the surplus becomes a burden or leads to frustration.

「持て余す」とは、時間・感情・能力などを過剰に持っているがゆえに、それを使いこなせず、どう扱えばいいか分からない状態を表す言葉です。これは単なる「余り」ではなく、「自分のコントロールを超えてしまっている」「活かしきれずにもどかしい」という感覚を含んでいます。


JLPTの目安レベル

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※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。

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