
ある週末、エミリーは美味しい日本の定食屋さんを見つけた。そのことをシェアしたくて、他の留学生の友達数人と話していたときにその話題を出した。みんな興味を持ってくれたと思ったら、そのうちの一人が急にイタリアンレストランの話をし始めて、話の流れがガラッと変わってしまった。がっかりしたエミリーが、そのことをヒロシに話す。
エミリー: この前、日本食のすごく美味しい定食屋さんを見つけたの。それで、他の留学生の友達にその話をしたんだけど…
ヒロシ: へえ、いいじゃん。それでどうなったの?
エミリー: 何人かは「行ってみたいね」って言ってくれたんだけど、ひとりの子が急に「私が行ったイタリアンもすごく美味しくてさ」って話し出しちゃって。
ヒロシ: あー、それはちょっと白けるね。
エミリー: 白ける?それ、どういう意味?
ヒロシ: うーん、せっかく盛り上がってたのに、急に雰囲気が冷めちゃう感じ?話の流れが止まっちゃうっていうか。
エミリー: なんか前に聞いた「興ざめ」と似てる?
ヒロシ: あー、そうそう。興ざめに似てるけど、「白ける」はもっと日常的かな。人の反応がいまいちだった時とかにも使う。
エミリー: なるほどね。So it’s like, “That killed the vibe.” 雰囲気が台無しになった、みたいな?
ヒロシ: うん、それ近いと思う!今度はそのイタリアンの子がいないときに、また話してみたら?みんなきっと行きたがると思うよ。
解説
白けるは、場の雰囲気や感情が急に冷めてしまうときに使う表現です。楽しい会話や盛り上がっていた雰囲気が、誰かの発言や行動によって台無しになるような場面でよく使われます。特に、自分が期待していた反応が返ってこなかったときや、空気が合わない一言で会話が止まってしまったようなときに「白けた〜」と表現します。
また、自分自身の気持ちがしらけることもあれば、周囲の空気全体がしらけることもあります。多くの場合、「空気が読めない」人の発言や行動がきっかけになることが多いです。
「興ざめ」との違いについて
「興ざめ(きょうざめ)」も同じように気持ちが冷めることを表しますが、「白ける」に比べてややフォーマルで、内面的な失望やがっかり感が強い傾向があります。たとえば、楽しいと思っていた映画が期待外れだったときなど、自分の内側での評価が急に下がるような場面で使われることが多いです。
一方、「白ける」はより日常的で、場の空気や会話の流れが壊れるような外的要因に対して使われることが多いです。
英語には「白ける」と完全に一致する表現はありませんが、似たニュアンスを持つ表現はいくつかあります。
That killed the vibe.
「そのせいで雰囲気が壊れた」という意味で、楽しい雰囲気を一言で台無しにしてしまった時に使われます。
例文:He suddenly started complaining during the party. That really killed the vibe.
パーティーの最中に急に文句を言い出してさ、ほんとに白けたよ。
Buzzkill
直訳は「酔いがさめるもの」ですが、比喩的に「場の雰囲気を壊す人やこと」に使います。ややカジュアルで、ユーモアを交えて使うことが多い表現です。
例文:Don't be a buzzkill. We were having fun!
白けること言わないでよ。せっかく楽しんでたのに!
Ruined the mood
もう少しフォーマルな言い方で、「雰囲気を壊した」「気持ちが冷めた」という意味になります。
例文:Her negative comment really ruined the mood.
あの子のネガティブな一言で、場の雰囲気が完全に白けた。
「白ける」を英語で説明
“Shirakeru” is a Japanese verb used when someone or something causes a lively or positive mood to disappear, making the atmosphere feel awkward, tense, or emotionally flat. It often happens because of an inappropriate comment or action that doesn’t match the situation.
「白ける」は、誰かの言動によって楽しい雰囲気や盛り上がっていた空気が急に冷めてしまい、その場が気まずくなったり、感情がしぼんでしまうことを表す日本語の動詞です。内面の失望を表す「興ざめ」に比べて、より日常会話で使われやすく、外からの影響によって場の空気が崩れたときに用いられる傾向があります。
「白ける」は日本語能力試験(JLPT)N2に該当します。
※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。