
ヒロシは大学進学と同時に実家を出て、一人暮らしを始めた。でも、生活費は親からの仕送りでまかなっている。先日、久しぶりに実家に帰って父と話していた時、何気ない会話から口論に発展し、父から厳しい一言を受けてしまった。
「親のスネをかじってるうちは、まだ一人前とは言えないことを忘れるな。」
その言葉が胸に刺さり、ヒロシは少し落ち込んでいた。数日後、エミリーとカフェで話していた時、その話をすることに。
エミリー: えっ、「親のスネをかじる」?それ、どういう意味?「親」はわかるけど、「スネ」って足のここでしょ?それをかじるって、めっちゃ変じゃない?
ヒロシ: うーん…たしかに変な表現だけどさ。昔からある言い方で、要は、親のお金に頼って生活してるって意味。
エミリー: なるほど。「かじる」ってことは、親の足をかじってるくらい、まだ子どもってイメージ?
ヒロシ: まぁ、そんな感じ。ていうかさ、スネって、肉があんまりない固いとこじゃん?そこをかじるってことは、親の体の中でも、かじりにくくて痛そうなとこをかじってるってことなんだよ。つまり、それだけ親に負担かけてるっていう、ちょっと皮肉っぽい意味があるんだ。
エミリー: わあ…なんか、すごく日本的な表現だね。身体の一部をかじるって、ちょっと残酷だけど、だからこそ、イメージが強くて、深い感じがする。
ヒロシ: うん、感覚としては「まだ自立してないヤツ」っていう、ちょっとバカにするニュアンスもあるんだよな。
エミリー: なんか、日本語ってすごいね。感情とか人間関係を、身体の一部でたとえるの、ほんと印象的。
ヒロシ: だね。言われたとき、笑えなかったけどさ(笑)
エミリー: アメリカにも似た表現あるかなぁ…「live off your parents」とか、「mooch off your parents」とか言うけど、スネをかじるほどのインパクトはないなあ。
ヒロシ: 「mooch」ってどんな意味?
エミリー: "mooch off someone" は、ずうずうしく誰かに頼って生きてるって意味。ちょっとバカにする言い方。
ヒロシ: あー、それ、まさにオレだわ(笑)
エミリー: でもさ、わたしも親のお金で日本に留学してるし…。わたしも親のスネ、かじってるってことよね。(笑)
ヒロシ: まあ、しょうがないよな。学生だし。
エミリー: うん。でも、なるべく早く自立したいって気持ちはある!親のスネ、かじらないように頑張ろう!
解説
親のスネをかじるは、大人になっても親の経済的な援助に頼って生活している状態を表す慣用句です。自立していないことを皮肉や批判のニュアンスを込めて言います。
語源
「スネ(脛)」は足の骨の部分で、肉が少なくてかじるのが難しい場所です。そこをかじるという表現には、「親の負担になる」「親の身体を削るほど頼っている」という強い依存のイメージがあります。昔から「自分の力で生きていない」ことをからかう意味で使われてきました。
英語での表現例
- live off your parents
親に頼って生活する、という中立的な表現。単に経済的に支援を受けているという意味。
例:He’s 25 and still lives off his parents.
彼は25歳で、まだ親に頼って生活している。
- mooch off your parents
親にたかる、というややネガティブな表現。厚かましく援助を受けるという意味が含まれる。
例:She’s mooching off her parents instead of getting a job.
彼女は働く代わりに親にたかっている。
「親のスネをかじる」を英語で説明する
“Oya no sune o kajiru” is a Japanese idiom that means financially depending on your parents, especially as an adult. It often implies a lack of independence or being immature.”
「親のスネをかじる」とは、特に大人になってからも親に経済的に頼っていることを意味する日本語の慣用表現です。未熟さや自立していない印象を与えることが多いです。
「親のスネをかじる」は日本語能力試験(JLPT)N2に該当します。
※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。