
ヒロシとエミリーは駅へ向かって歩いている。道の途中、エミリーは前から気になっていた「質屋」という看板の店を指さしてヒロシに質問する。
エミリー: ヒロシ、あの「質屋」って書いてあるお店、前から気になってたんだけど、何を売ってるの?
ヒロシ: 質屋はね、普通のお店とはちょっと違うんだよ。基本的には、お客さんが物をお店に預けて、お金を借りる場所なんだ。例えば、時計とかブランド品とかを質屋に持っていくと、それを担保にお金を貸してくれるんだよ。
エミリー: えっ、お店に売るんじゃなくて、預けるの?
ヒロシ: そう! で、決められた期間内にお金を返せば、預けたものを取り戻せるんだ。でも、もしお金を返せなかったら、その品物は質屋のものになって、店で売られちゃう。
エミリー: へぇー、ちょっとリサイクルショップみたいだけど、違うね。アメリカにも似たようなお店があるよ!「Pawn Shop(ポーンショップ)」って言うんだけど、基本的な仕組みは同じ。価値のあるものを担保にお金を借りられて、返せなかったらその品物が売られるんだ。
ヒロシ: おぉ、英語では「Pawn Shop」って言うんだね。知らなかった!
エミリー: でも、「質屋」っていう名前、なんで「質」っていう漢字を使うの?「屋」はお店の意味だけど、「質」ってどういう意味?
ヒロシ: いい質問!「質」っていうのは「質草(しちぐさ)」って言葉から来てるんだよ。「質草」っていうのは、担保として預ける品物のこと。
エミリー: なるほどね。でも、どうして担保の品物を「質草」って呼ぶの?「草」ってなんか植物みたいだけど……?
ヒロシ: それもいい質問だね! 実は、「草」は「仮のもの」とか「一時的なもの」っていう意味があるんだよ。昔の日本では、正式な書類が作られる前の下書きのことを「草案(そうあん)」とか言ったりするでしょ? それと同じで、質草も「一時的に預けるもの」っていうニュアンスがあるんだ。
エミリー: へぇー! じゃあ、「質草」っていうのは「仮の持ち物」みたいな意味なんだね。勉強になる!
ヒロシ: そうそう。昔の人も、物を完全に手放すんじゃなくて、いつか取り戻せるっていう意識があったんだろうね。
エミリー: すごい、言葉の意味を考えると、文化も見えてくるね! でも、「Pawn」っていう英語の言葉の由来は、実はラテン語から来てるんだよ。「pignus(ピグヌス)」っていう「担保」って意味の言葉が変化して「Pawn」になったらしいよ。
ヒロシ: へぇー! 日本語の「質屋」と英語の「Pawn Shop」、どっちも担保の意味がもとになってるんだね。面白い!
解説
今回の会話では「質屋(しちや)」について説明しました。質屋は、物を担保にしてお金を借りることができるお店で、一定の期間内に返済すれば品物を取り戻せます。英語では「Pawn Shop」と言います。
また、「質屋」という言葉の由来についても触れました。「質草(しちぐさ)」の「質」は担保を意味し、「草」は「仮のもの」「一時的なもの」という意味があります。これにより、「質草」は「一時的に預けられる担保」という意味になり、そこから「質屋」という言葉が生まれました。
一方、英語の「Pawn」はラテン語の「pignus(ピグヌス)」=「担保」に由来しています。Pawn Shop はそのまま「担保を扱う店」という意味になりますが、実は「pawn」は動詞としても使われ、「物を担保にお金を借りる」という意味を持ちます。
ポイント ①:「pawn」を動詞として使うと「質屋に行ったことが暗に伝わる」
例えば、次のような文を考えてみましょう。
👉 I pawned my watch to pay my bills.
(請求書を払うために、時計を質に入れた。)
この文では「pawn」という動詞が使われているため、「質屋(pawn shop)」に行ったことが暗に伝わります。特に、「I pawned 〇〇」と言えば、「質屋で〇〇を質に入れた」という意味になるので、「at a pawn shop」とわざわざ言わなくても伝わるのがポイントです。
しかし、文脈によっては「pawn shop」を明示した方がわかりやすい場合もあります。
👉 I went to a pawn shop and pawned my guitar.
(質屋に行って、ギターを質に入れた。)
この場合、「pawn shop」に行ったことをはっきり示したいので、「pawn shop」という名詞を加えています。
ポイント ②:「pawn」の例文
- I pawned my laptop to get some quick cash.
(急にお金が必要だったので、ノートパソコンを質に入れた。) - He had to pawn his gold ring to pay the rent.
(彼は家賃を払うために、金の指輪を質に入れなければならなかった。) - She didn’t want to pawn her jewelry, but she had no other choice.
(彼女は宝石を質に入れたくなかったが、他に選択肢がなかった。) - I ran out of money before payday, so I pawned my watch to borrow some cash.
(給料日前にお金が足りなくなったので、時計を質に入れてお金を借りた。)
英語の「pawn」と日本語の「質草・質屋」の成り立ちを比べてみると、どちらも「担保」を意味する言葉がもとになっている点が共通しています。言葉の背景を知ることで、より深く理解できますね!
「質屋」を英語で説明する
Shichiya(質屋)
A "shichiya" (質屋) is a type of shop in Japan where people can temporarily pawn their valuable items in exchange for a loan. If they repay the loan within a certain period, they can reclaim their items. If not, the shop has the right to sell them. In English, this type of shop is called a "Pawn Shop."
日本語訳:
「質屋(しちや)」は、日本にある店の一種で、価値のある物を一時的に預けてお金を借りることができます。一定の期間内に返済すれば品物を取り戻せますが、返済できなかった場合、店がそれを売る権利を持ちます。英語では「Pawn Shop」と言います。
取り上げられた言葉は日本語能力試験(JLPT)N2に該当します。