エミリーは久しぶりに電車に乗りました。
優先席が空いていたので、座ろうとしたら、友人から「座らない方がいいよ」と言われました。
周りには高齢の人や、身体の不自由な人はいなかったので、問題はないと思ったのですが、友人が言うには「確かに今はいないけど、年配の人が来るかどうかを気にしたりするのがいやだから、私は優先席には座らない」と言っていました。
解説
アメリカにおいても、優先席は障がい者、高齢者、妊婦などのために設けられています。特に障がい者に対する配慮が強調されており、アメリカ障がい者法(ADA: Americans with Disabilities Act)に基づき、公共交通機関は障がい者がアクセスしやすいようにバリアフリー設計を義務付けられています。これにより、優先席が確保され、座席だけでなく、車両自体も障がい者が利用しやすいように設計されています。
一方で、アメリカでは個人の自由や判断が尊重されており、優先されるべき人がいなければ、誰でも優先席に座ることが一般的です。他者が積極的に介入することは少なく、誰かが座っていても注意されることはほとんどありません。
エミリーは優先席の話をヒロシに持ち出しました。
エミリー:優先席であっても、おじいさんやおばあさん、病気の人がいなければ、アメリカでは普通に座るけど、日本では違うの?
ヒロシ:そうだね。優先席というのは、優先されるべき人でない場合は、エミリーの友だちのように座るのをちょっと抵抗があるような雰囲気はあるね。日本では、たとえ優先されるべき人がいなくても、周囲に配慮する文化が強いんだ。多くの日本人は、他者に不快感を与えないよう、空いている場合でも優先席には座らないことが多いんだよ。
エミリー:アメリカでは個人主義が強いから、譲るかどうかは各自の判断に任されているわね。たとえ誰かが優先席に座っていても、周りの人が直接注意することはほとんどないわ。でも、日本だと違うのね。
ヒロシ:そうだね。日本では、高齢者や障がい者が近くにいるのに座っていると、少し気まずい雰囲気になることがあるよ。
エミリー:なるほど。日本では他者を気にして行動する文化が強いんだね。現地で暮らしてみないとわからないことがあるわね。「郷に入れば、郷に従え」ってことね。
ヒロシ:そうだね。でも、これは他の国でも同じことが言えるよ。たとえばヨーロッパの国々では、優先席があっても、座ることに対してそれほど厳しい社会的なプレッシャーはないんだ。
エミリー:そうなのね。国によって優先席の扱い方が違うのは面白いわ。
ヒロシ:ところで、優先席って英語でなんていうの?
エミリー:「priority seat」または「priority seating」と言うわね。公共の交通機関で、お年寄りや妊婦、障がいのある人のために設けられた席は日本と同じようにあるわ。アメリカでもこうした席がしっかりと設けられているのよ。
ヒロシ:そうなんだ。「priority」って日本でも「優先順位」って意味でよく聞くけど、まさにその「priority」なんだね。
エミリー:そう、その「priority」よ。他にも「priority boarding」(優先搭乗)や「priority lane」(優先レーン)もよく使われるわ。
空港やその他の優先制度
空港での優先搭乗 アメリカでも日本でも、空港ではpriority boardingが一般的です。特にファーストクラスやビジネスクラスの乗客、または特定の会員プログラムの上級メンバーは、通常の搭乗列に優先して搭乗することができます。また、身体に不自由のある人や妊婦、乳幼児を連れた親なども、この優先搭乗の対象になります。express boardingやfast trackなどの表現も場合によっては使われます。
病院や医療機関での優先対応 病院や医療機関でも、高齢者や妊婦、障がい者に対してはpriority serviceが提供されることがあります。アメリカでは「special assistance」や「accessible services」など、特別なケアを必要とする人々に対して柔軟な対応が行われます。また、日本と同様に、緊急性の高い患者に対しては特別な診療時間や対応が設けられています。
銀行や役所の窓口業務 日本とアメリカのどちらでも、priority counter(優先窓口)やexpress serviceが提供されることがあります。特に高齢者、障がい者、妊婦などが列に長時間並ぶことを避けるため、特別に設けられた窓口が利用されることが一般的です。
イベントやテーマパークでの優先入場 アメリカや日本のテーマパークやイベント会場では、VIP accessやpriority entryが設けられており、特定のチケットを持つ人や、上級会員向けに優先的に入場できるシステムが存在します。これにより、混雑するエリアでも迅速に入場できる特典が提供されます。
駐車場 障がい者向けの優先駐車スペースとしては、アメリカではhandicapped parkingまたはaccessible parkingが一般的に使用されています。日本でも同様に、身体に障がいのある人が優先的に駐車できるスペースが設けられており、これらのスペースは通常、建物の入り口に近い場所に配置されています。
その他の優先表現
日常的に「priority」が使われる場面は多いですが、すべてのケースでこの単語が使われるわけではありません。場合によっては、「reserved seating」(予約席)や「designated seating」(指定席)など、別の表現が使用されることもあります。
例えば、空港では「priority boarding」の他に、「express boarding」や「fast track」という言葉も使われ、銀行や役所の窓口でも「priority counter」の代わりに「express service」や「fast service」が使われることがあります。