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「手加減をしない」本気で臨む姿勢を英語で言うと

大学の体育館でヒロシとエミリーはバドミントンをしている。最初は軽い遊びのつもりだったが、エミリーが思った以上に真剣にラケットを振るため、ヒロシも次第に本気になっていく。やがてヒロシは「次は手加減しないぞ!」と宣言する。エミリーは「手加減」という言葉の意味に戸惑い、そこから会話が始まる。


ヒロシ:エミリー、けっこう上手いな。じゃ、次は手加減しないぞ!

エミリー:てかげん? 何それ?

ヒロシ:ああ、本気を出さずにちょっと弱めにやることだよ。たとえば、初心者や子どもと遊ぶときに、勝たせてあげようとするとか。

エミリー:なるほど…。じゃあ、英語でいう “go easy on someone” とか “hold back” に近いのかな?

ヒロシ:へえ、そんなふうに言うんだ。

エミリー:“go easy on” は相手に優しくする、甘くするって感じ。“hold back” は力を抑えるってニュアンスかな。

ヒロシ:ぴったりだな。まさにそれが手加減ってことだよ。

エミリー:じゃあ、さっきまで私に手加減してたんだね?

ヒロシ:ちょっとだけ…。いきなりスマッシュを全力で打ったら驚くかなと思って。

エミリー:でも、それってあんまり嬉しくないよ。本気でやってくれたほうが練習にもなるし。

ヒロシ:日本だと「相手を思いやる」って意味で手加減することが多いんだ。

エミリー:でも、私にとっては “no holding back” のほうがリスペクトされてる感じがする。

ヒロシ:なるほど…。文化の違いってやつだな。

エミリー:うん。だから次は手加減なしで勝負しよう!

ヒロシ:よーし、今度は本気でいくぞ!

解説(日本語・英語の意味や使い方)

「手加減する」とは、相手に合わせて力を弱めたり、本気を出さずに加減することを意味します。その逆の 「手加減しない」 は、「全力でやる」「弱めない」「遠慮しない」という意味になります。

この表現はスポーツや遊びだけでなく、仕事や人間関係においても使われる幅広い言葉です。相手に配慮して本気を出さない「優しさ」のニュアンスと、逆に「容赦しない」に近い強さのニュアンスの両方を含みます。

「容赦しない」との違い

  • 手加減しない:全力を出す、弱めない。軽い場面(スポーツ・遊び)でも自然に使える。
  • 容赦しない:情けをかけない、厳しく攻める。叱責・批判・闘いなど強い場面に使われる。

似ていますが、「手加減しない」はポジティブにもネガティブにも使える一方、「容赦しない」は冷酷さを含む場面が多いという違いがあります。

英語訳との構造比較

「手加減しない」に完全に一致する英語はありませんが、文脈に応じて以下の表現が使われます。

英語表現含意「手加減しない」との違い
go easy on相手に甘くするI won’t go easy on you. → 試合や遊びで自然
hold back力を抑えるI won’t hold back. → 抑制をしないニュアンス
show no mercy容赦しないI’ll show no mercy. → 厳しさや冷酷さが強い

英語例文と日本語訳

  • I won’t go easy on you in this game.
     この試合では手加減しない。
  • He didn’t hold back when giving his opinion.
     彼は意見を言うときに手加減しなかった。
  • The coach showed no mercy during practice.
     監督は練習で容赦しなかった。

文化的・社会的意味の翻訳

日本では「相手に恥をかかせないように、少し力を抜く=手加減する」ことが礼儀や思いやりとされる場面があります。特に子どもや初心者相手では自然にそうする人が多いです。

一方、欧米では「対等に全力を出すことがリスペクト」とされる傾向が強く、わざと弱めるのは「見下されている」と感じられることもあります。
このため、「手加減する/しない」という感覚は文化によって受け止め方が大きく変わります。

「手加減をする」を英語で説明する

Tekagen wo shinai can be translated as “not going easy,” “not holding back,” or “going all out.” It describes a situation where someone decides to give their full effort without softening or weakening their performance for the other person’s sake.
日本語訳:「手加減をしない」とは、“not going easy”“not holding back”“going all out” と訳され、相手に配慮して力を弱めることなく、全力で取り組む状況を表します。

In sports or games, it often means playing seriously and showing your true ability rather than deliberately lowering your level. For example, saying “I won’t go easy on you” before a match conveys the idea of playing with full strength.
日本語訳:スポーツや遊びでは、実力を抑えずに本気でプレーするという意味合いでよく使われます。たとえば試合前に “I won’t go easy on you” と言えば、「手加減せず全力で戦う」という決意を表します。

The phrase can also appear in more serious contexts. For instance, “He didn’t hold back when criticizing the proposal” suggests that the speaker gave honest, direct feedback without softening the words.
日本語訳:また、この表現は真剣な場面でも使われます。たとえば “He didn’t hold back when criticizing the proposal” は「その提案を批判するときに手加減しなかった=率直に厳しい意見を述べた」という意味になります。

While it sometimes overlaps with “show no mercy,” the nuance is usually less severe. Show no mercy emphasizes cruelty or harshness, whereas tekagen wo shinai often simply indicates seriousness, sincerity, or fairness in effort.
日本語訳:「show no mercy」と重なる場合もありますが、ニュアンスは通常それほど強くありません。show no mercy が冷酷さや厳しさを強調するのに対し、「手加減をしない」 は「真剣さ」「誠実さ」「公平に力を出すこと」を意味する場面が多いのです。

JLPTレベル

JLPT(日本語能力試験)は語彙や表現に明確な基準を設けていませんが、目安としてこの言葉は N2 レベル に相当すると考えられます。

参考

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