エミリー:ねえヒロシ、最近感じるこの香り、わかるかな、何かの花?ホームステイ先でも
匂うし、学校でも匂うわ。特別な花じゃない?
ヒロシ:多分、金木犀だね。日本の秋を代表する花なんだ。
といっても、金木犀は実際には中国原産で、日本に自生する独自種ではないんだ。金木犀はモクセイ科モクセイ属の植物で、学名はOsmanthus fragrans var. aurantiacus。日本には17世紀ごろ、中国から輸入され、観賞用に栽培されるようになったようだよ。
エミリー:どんな花?
ヒロシ:花はオレンジ色の花が咲くんだけど、樹木という感じかな。チューリップみたいな感じではないよ。
エミリー:そういえば、ホームステイ先の庭先にオレンジの小さな花をつけた木があったわ。
ヒロシ:多分それが金木犀だね。
エミリー:ミネソタでは見たことがない木だし、嗅いだことのない匂いだわ。私はとても好き。
ヒロシ:僕もそうだよ。この匂いを嗅ぐと「秋になったな」という感じがするんだ。
エミリー:日本って桜なんかもそうだけど、季節を感じるものが多いわ。
ヒロシ:この金木犀の香りは日本の風物詩の1つだと思うよ。
エミリー:風物詩?その言葉、どういう意味?
ヒロシ:「風物詩」っていうのは、その季節特有の自然や景色、行事を表す言葉なんだ。例えば、春の桜、夏の花火大会、秋の紅葉、冬の雪景色がそうだよ。見ると「ああ、季節が変わったな」って感じるようなものが風物詩なんだ。
エミリー:ああ、なるほど。日本では季節ごとにそんな風物詩があるのね。
ヒロシ:そうだね。四季がはっきりしてるから、季節ごとに特有の風物詩が楽しめるんだよ。
エミリー:でも、「風物詩」って英語ではどう言うかな。
ヒロシ:うーん、それが難しいんだよね。エミリー、何か英語で表現できる?
エミリー:そうね、英語だと「seasonal tradition」とか「seasonal icon」が近いかもしれないけど、完全に同じ意味の言葉はないわね。「風物詩」は自然や季節を感じさせるものすべてを含んでいるから、ちょっと広い意味があると思うわ。
ヒロシ:確かに。風物詩はただの行事だけじゃなくて、自然や風景そのものが含まれている感じだもんね。桜や紅葉だけじゃなく、金木犀の香りなんかもその一部だし。
エミリー:そうよね、日本の「風物詩」は自然と密接に結びついていて、季節を体験するものって感じがするわ。それに比べて、英語ではイベントや習慣に焦点が当たることが多いかも。
エミリー:でもこの金木犀の香り、日本ならではの秋を感じさせる素敵なものね。ミネソタではこの匂いを嗅いだことがないから、すごく新鮮に感じるわ。
ヒロシ:うん、こういう自然と共に季節の移り変わりを感じるのが、日本の風物詩の一部なんだよ。
解説部分
金木犀(Osmanthus fragrans)は日本では秋を象徴する風物詩として広く親しまれていますが、アメリカではその存在は限られています。特に寒冷な地域であるミネソタなどでは、金木犀は寒さに弱いため、基本的に栽培されていません。温暖な地域、例えばフロリダやカリフォルニアなどでは見られることもありますが、アメリカ全土で広く認識されている植物ではありません。
そのため、エミリーのようにアメリカから来た留学生が金木犀の香りに驚くのは当然のことです。日本では街中や庭園で秋になると金木犀の香りが漂うのに対し、アメリカの大部分の地域ではこの香りを感じる機会がほとんどないため、エミリーにとっては日本ならではの秋の風物詩として新鮮な体験となったのです。