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「阿吽の呼吸」息ぴったりを英語で表現するには

図書館の静かな空間で、ヒロシとエミリーは一緒にレポートを進めようとしていた。ヒロシはノートパソコンを開きながら、エミリーに微笑んで言う。


ヒロシ: エミリーとなら「阿吽の呼吸」でバッチリだよ。

エミリー: 一緒にやるのはいいけど、「阿吽の呼吸」って何?アニメの「鬼滅の刃」のなんとかの呼吸みたいな感じ? 「3の形、あうんのこきゅうーー」みたいな。

ヒロシ:いやいや、違うな。 うん、じゃあ説明するね。阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)っていうのは、お互いに特に言葉で説明しなくても、自然と相手の考えや動きを理解して、ぴったり息を合わせられることを指すんだ。例えば、長年コンビを組んでる漫才師とか、熟練した職人同士が、特に打ち合わせしなくても完璧なタイミングで動けるみたいな感じ。

エミリー: ああ、そういう意味なんだね。起源はどこから来てるの?

ヒロシ: 阿吽っていうのは、もともと仏教に由来する言葉なんだ。阿(あ)は最初の音で、吽(うん)は最後の音。つまり、宇宙の始まりと終わりを表してるって言われてる。日本では、神社の狛犬やお寺の仁王像が阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)になってるんだけど、見たことある?

エミリー: えっ、神社の前に犬がいるの?全然気にしたことなかった…。

ヒロシ: いるよ!神社の入り口に必ずと言っていいほど狛犬(こまいぬ)という像があるんだ。生きている犬じゃないからね。片方が口を開けてて(阿形)、もう片方が口を閉じてる(吽形)。

エミリー: そんなのあったんだ…。全然意識したことなかったよ。今度、神社に行くときにちゃんと見てみようっと! 

ヒロシ: うん、ぜひ確認してみて!意識すると、意外といろんな神社にいるのが分かるよ。

エミリー: なるほど。でも、それって少し前にならった「以心伝心」に似ている感じだわ。

ヒロシ: いいところに気づいたね!どっちも似てるけど、少し違うよ。以心伝心は、言葉を使わなくてもお互いの考えや気持ちが伝わることを指すんだ。例えば、親友同士とか長年連れ添った夫婦が、何も言わなくても相手の気持ちが分かるような感じ。

エミリー: じゃあ、阿吽の呼吸は、それよりも動きやタイミングが合うことを強調してるってこと?

ヒロシ: その通り!例えば、スポーツのダブルスチームが、特に指示を出さなくても完璧に動けるのは阿吽の呼吸だね。

エミリー: なるほど、分かってきたよ。じゃあ、この阿吽の呼吸を英語で表現するとどうなるかな?

ヒロシ: うーん…perfect timingとか?

エミリー: うーん、それだとちょっと違うかも。阿吽の呼吸は単なるタイミングの良さじゃなくて、長年の経験や信頼関係があるからこそ成り立つものだよね?

ヒロシ: そうだね。

エミリー: じゃあ、wordless coordination(言葉のいらない連携)とか、seamless teamwork(途切れのないチームワーク)が近いかも。あと、be in sync(シンクロしている)もよく使う表現だよ。

ヒロシ: be in syncか、それは覚えやすいね!

エミリー: 例えば、We are totally in sync when working together.(私たちは一緒に仕事をするとき、完全に息が合う)って言えば、阿吽の呼吸に近いニュアンスが伝わるよ。

ヒロシ: いいね!じゃあ、エミリーとは We are totally in sync! ってことだね。

エミリー: そういうこと!

ヒロシ: じゃあ、阿吽の呼吸でレポートを進めるか!

エミリー: うん、でもね…ヒロシ、課題の優先順位をちゃんと考えてね!途中で他のことに手を出しすぎるの、やめてよ?

ヒロシ: うっ…バレてる?

エミリー: バレバレ!ちゃんと集中してやろう! 横道それたら、チーム解散ね。

ヒロシ: はいはい、分かってるって!

解説

  • 阿吽の呼吸(あうんのこきゅう) → 言葉がなくても息がぴったり合うこと
    • 例: 熟練した職人同士、漫才コンビ、スポーツチーム
  • 以心伝心(いしんでんしん) → 言葉を使わなくても心が通じ合うこと
    • 例: 親友、夫婦、長年の付き合いのある人同士
  • 狛犬(こまいぬ) → 神社の入り口にある2匹の像
    • 阿形(あぎょう) → 口を開けている
    • 吽形(うんぎょう) → 口を閉じている

英語表現:

  • be in sync(シンクロしている)
    • 例: "We are totally in sync when working together."(私たちは一緒に仕事をするとき、完全に息が合う。)
  • wordless coordination(言葉のいらない連携)
  • seamless teamwork(途切れのないチームワーク)

「阿吽の呼吸」を英語で説明する。

A-un no Kokyuu (阿吽の呼吸) is a Japanese expression that describes the perfect harmony between two people who can coordinate their actions without verbal communication. It is often seen in long-time comedy duos, skilled craftsmen, or sports teams where partners move seamlessly as if they can anticipate each other's thoughts.

The phrase originates from Buddhism, where "A" (阿) is the first sound of the Sanskrit alphabet, symbolizing the beginning, and "Un" (吽) is the last sound, representing the end. This concept of "A" and "Un" is often depicted in Komainu (guardian lion-dog statues) at Shinto shrines or Nio statues at Buddhist temples—one with its mouth open (A) and the other with its mouth closed (Un).

In English, similar phrases include "be in sync", "wordless coordination", or "seamless teamwork", all of which emphasize smooth and effortless cooperation between individuals.

日本語訳

阿吽の呼吸(あうんのこきゅう) は、日本語の表現で、言葉を交わさなくても息がぴったり合い、完璧に連携できる状態を指します。例えば、長年コンビを組んでいる漫才師や、熟練した職人、スポーツチームのペアなどが、まるで相手の考えを読んでいるかのように動く様子を表します。

この言葉の由来は仏教にあり、「阿(あ)」 はサンスクリット語のアルファベットの最初の音で「始まり」を意味し、「吽(うん)」 は最後の音で「終わり」を意味します。この「阿」と「吽」の概念は、日本の 神社の狛犬(こまいぬ)お寺の仁王像 にも反映されており、一方が口を開け(阿)、もう一方が口を閉じ(吽)ている形になっています。

英語では、「be in sync」(シンクロしている)、「wordless coordination」(言葉のいらない連携)、「seamless teamwork」(途切れのないチームワーク)といった表現が、阿吽の呼吸に近い意味を持ちます。

「阿吽の呼吸」はJLPT(日本語能力試験)N1に該当します。

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