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「シルエット」日本語にするのは興ざめ:日本語以上に情緒的な英語

ヒロシとエミリー、大学の校舎の5Fから見る、夕焼けに浮かび上がる富士山を見ながら、ヒロシは「シルエット」についてエミリーと話ています。


ヒロシ:エミリー、見てよ夕焼けがきれいだね、富士山のシルエットが綺麗に出ている。綺麗だなぁ。

エミリー: わぁ本当ね。富士山は日本の象徴の一つね。綺麗な山だわ。影の様に浮かび上がっている姿もまた良いわ。
ヒロシ:思ったんだけど、あの富士山の光景を表すには「シルエット」という言葉しか思いつかないんだ。 シルエットは、「影」とか「輪郭」と訳せるのかもしれないけど、富士山の影が、とか富士山の輪郭じゃ、どうもしっくりこないんだな。「シルエット」というのは、ある意味日本語以上に日本語的な使い方をされていると思うな。 この前話した、「ニュアンス」という言葉みたいな。

エミリー:そうなんだ。英語では"silhouette"は同じように使うよ。たとえば、「The silhouette of Mt. Fuji is breathtaking against the sunset」とかね。この場合、「silhouette」は「影」とか「輪郭」っていうよりも、物の形や輪郭がくっきりと浮かび上がっている様子全体を指している感じ。

ヒロシ:なるほどね!「シルエット」をそのまま英語でも使えるのか。でも、「silhouette」と「shadow」とはどう違うの?

エミリー:いい質問ね。「shadow」は普通、物が光を遮ることでできる影そのものを指すの。たとえば、木の下にできる影とか、人が歩いてできる影。「My shadow is long in the evening sunlight」とか言うよ。一方で「silhouette」は、物そのものの輪郭が背景に対して暗く見えるときに使うのが一般的。だから、「富士山のシルエットが夕日に映える」みたいな場合は、まさに「silhouette」がぴったりなの。

ヒロシ:なるほど。「影」って言うと日本語ではどちらかというと「shadow」のイメージのほうが強いもんね。じゃあ、「silhouette」は「影」よりもっと美的な感じがあるのかな?

エミリー:そう言えるかもね。「silhouette」には芸術的とかドラマチックなニュアンスがある場合が多いわ。たとえば写真や絵画でも、「The silhouette of the city at dusk」(夕暮れ時の街のシルエット)とか「The silhouette of a dancer」(ダンサーのシルエット)みたいに使うと、美しいイメージを描くことができるの。

ヒロシ:うん、それなら富士山に使うのもすごく合ってるね。でも、「silhouette」を日常会話で使うことってあるの?

エミリー:あるよ。でも、少し詩的な表現になりがちかも。日常会話では「shadow」のほうがよく使われるね。でも、たとえば「I saw the silhouette of a cat against the window」(窓越しに猫のシルエットが見えた)とかは普通に使えるよ。

ヒロシ:おお、それなら僕も英語で使えそうだね。覚えておこう!ありがとう、エミリー。日本語に戻るけど、やっぱり「シルエット」はカタカナ英語としても、日本語としても便利だな。

エミリー:そうね。カタカナ英語の中でも、特に上手く日本語に溶け込んでいる言葉の一つかもしれないね。

解説

  1. silhouette
    • 「silhouette」は、物の形や輪郭が暗く浮かび上がる様子を表します。「影」や「輪郭」と訳されることもありますが、美的・芸術的なニュアンスが強い言葉です。
      例文
    • The silhouette of Mt. Fuji against the sunset is stunning.
      (夕日に映える富士山のシルエットは美しい。)
    • The silhouette of the trees looked eerie in the moonlight.
      (月明かりに照らされた木々のシルエットが不気味に見えた。)
  2. shadow
    • 「shadow」は、光を遮ることでできる影そのものを指します。日常会話でよく使われる言葉です。
      例文
    • My shadow grew longer as the sun set.
      (日が沈むにつれて私の影が長くなった。)
    • The shadow of the building blocked the sunlight.
      (建物の影が日光を遮った。)
  3. ニュアンスの違い
    • 「shadow」は単純に影を指しますが、「silhouette」には物の形や輪郭が背景に対して目立つ場合に使われ、美しい情景を描写する際に使われることが多いです。

日本語としてのシルエットを英語でせつめいする。

In Japan, the word "silhouette" is used as a loanword in katakana English, carrying the same meaning as in English. While "silhouette" can be translated into Japanese as "輪郭" (outline) or "影" (shadow), there seems to be no Japanese term that fully captures the nuance conveyed by "silhouette." As a result, "silhouette" is often adopted as-is in Japanese, reflecting how foreign words are sometimes integrated into the language to express ideas for which no exact Japanese equivalent exists.

日本語訳

日本では、「シルエット」という言葉はカタカナ英語として英語と同じ意味で使われています。「シルエット」を日本語に訳すと「輪郭」や「影」となりますが、「シルエット」が持つ趣を完全に表現できる日本語は存在しないようです。そのため、「シルエット」は日本語の中でそのまま取り入れられることが多く、他の言語からの言葉が日本語に統合され、ぴったりな日本語がない概念を表すのに使われる例と言えます。

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