
ある日、ヒロシとエミリーは近所のカフェでコーヒーを飲みながら、家族の話をしていた。ヒロシの兄が久しぶりに実家に帰ってきた時のことを話し始める。ヒロシの兄は若くして家を買ったが、家計のことはすべて奥さんに任せていて、ちょっとした愚痴をこぼしていたという。そんな会話の中で、「財布の紐を握る」という表現が登場し、エミリーが興味を持つ。
ヒロシ: この前さ、兄貴が久しぶりに実家に帰ってきたんだけど、やたらため息ついててさ。
エミリー: え、どうしたの?仕事大変なの?
ヒロシ: いや、仕事はまぁまぁ順調らしいんだけどさ、家のことでちょっと疲れてるっぽくて。
エミリー: 家?あー、そうだ、ヒロシの兄ちゃんって若くしてマイホーム買ったんだよね?
ヒロシ: そうそう。30ちょいで一戸建て買って、ローンもガッツリ組んでさ。すごいなーって思ったんだけど…家計のことは全部奥さんに任せてるみたいでさ。
エミリー: へー、完全に任せてるんだ?
ヒロシ: うん。で、本人いわく「財布の紐を完全に握られてる」ってさ。ちょっと冗談っぽく言ってたけど、たぶん本音も混ざってたと思う。
エミリー: 「財布の紐を握る」…?それ、ちょっと気になる言い方だね。財布ってwalletのことだよね?でも、紐って?どういう意味?
ヒロシ: あー、昔の日本の財布ってさ、巾着みたいな形で、紐で口をキュッと閉めるタイプが多かったんだよ。その紐を「握る」ってことは、お金を出すかどうかを決める権利を持ってるってこと。
エミリー: わぁ、なるほど。イメージできた!それってつまり…お金のコントロールをしてる人ってことだよね?
ヒロシ: そうそう。家計のボスって感じ。
エミリー: それってね、英語にもほぼ同じ表現があるよ!"hold the purse strings"って言うの!
ヒロシ: え、マジ?まったく一緒じゃん、それ!
エミリー: でしょ?最初聞いた時、日本語とそっくりでビックリした。英語圏でも昔の財布はひも付きだったらしくて、発想が似てるんだよね。
ヒロシ: なんかすごいな、それ。文化が違っても、道具とか生活の中から似た表現が生まれるって面白い。
エミリー: うんうん、そういうのがあると、言語の勉強ってただの単語じゃなくて、「世界の見方」も分かってくる感じがする。
ヒロシ: たしかにねー。兄貴の場合はさ、若くして家買ってローン背負って、で財布の紐は奥さんがしっかり握ってて…まぁ、大変そうだけど、幸せそうでもあるかな。
エミリー: うん。そういうバランス、きっと夫婦のかたちなんだよね。財布の紐の話から、人生いろいろ見えてくるね。
解説
財布の紐を握る
この表現は、お金の使い方をコントロールする立場にあることを意味します。「財布の紐」は、昔の財布(特に巾着型のもの)が紐で開閉されていたことに由来しており、その紐を握るというのは、お金を出すか出さないかを決める人ということです。
つまり、財布の紐を握っている人=お金の管理をする人、という意味になります。家庭での家計管理に関してよく使われるほか、国家や団体などでも使われる表現です。
興味深いのは、英語にもまったく同じ比喩があることです。
- hold the purse strings
財布の紐を握る(お金の管理をする)
これは偶然の一致のように見えますが、実は英語の表現が日本語に入ってきたわけではありません。日本語の「財布の紐を握る」は、江戸時代など昔から使われていた日本独自の表現です。英語も日本語も、昔の財布の構造(紐で縛る)から似たような発想で生まれた言葉だと言えます。
例文(家計の場合):
- My wife holds the purse strings in our house.
うちでは妻が財布の紐を握ってるんだ。
例文(国家の場合):
- Congress holds the purse strings of the federal government.
連邦政府の財政は議会が握っている。
家庭でも国家でも、どちらも「お金を動かす決定権を持つ」ことを意味しています。
「財布の紐を握る」を英語で説明
"Saifu no himo o nigiru" means to control the spending of money in a household or organization. It literally refers to holding the strings of a traditional drawstring purse, symbolizing control over money.
「財布の紐を握る」とは、家庭や組織での金銭の使い道を決める立場にあることを意味します。昔の紐付き財布の口を締める紐を握っている=お金を出すかどうかを決める、というところから来ています。
「財布の紐を握る」は日本語能力試験(JLPT)N2に該当します。
※日本語能力試験(JLPT)では、出題語彙の公式リストは公開されていません。このレベル表示は、実際の試験問題や教材に基づいた目安として記載しています。